アメリカ出身のスクリーモ/ポストハードコアバンドが2008年にリリースした1stアルバム。
2012年6月現在では2ndアルバム"Imperial"まで発売されているが、バンドとしてはこの1stが現在のところ代表作と言っていい。Rise Recordsのレーベルカラーをそのまま投影したようなサウンドが持ち味。
トランスコア系ではないシンセコア/エレクトロコアの一種だが、実は一般的に語られるほど大々的にシンセサウンドが投入されているわけではなく、特にエレクトリカルな雰囲気はほとんど感じられない。
音楽性から言えば、シンフォニックな音色を用いた上で楽曲の展開美を強調したドラマチック・スクリーモと表現するのが正しいと思う。疾走するような曲は全く無いが、スローからミドルハイあたりで頻繁に転調を繰り返し、叙情的でメランコリックなメロディが全編を覆っている。曲調としてもアグレッシブな感じではなく、スクリームvoに激情を載せて吐き出しているような印象を受ける。クリーンvoのパートはそのまま悲哀を表現しているかのようだ。クリーン・スクリーム共にヴォーカルの表現力はかなり高い。
このバンド、シンセ面でのサウンドが多く取り上げられるが、ギターの活躍も見逃せないポイント。アレンジ&プロデュースとしてもギターサウンドを前面に出して仕上げているため、メタリックなフレーズが強調されて耳に届く。シンセサウンドとのバランスで考えれば上手いプロデュースだな、と思う。
曲調やアレンジ面、シンフォニックなシンセやメタリックなギターのサウンドから言ってもスクリーモ/メタルコアの土俵で勝負しているようなバンドではなく、スクリームvoをフューチャーしたメロディック・メタルとして欧州のシンフォニック・メタル勢へのスクリーモ界からの挑戦状なのではないかとさえ感じる。
スクリーモとメロディック・メタルの融合を果たした新世代シンフォニック・メタルだろう。
Your World On Fire
ノーマルvoのヴォーカルメロディが特に耳に残る。いかにもスクリーモな感じの楽曲だけど、叙情性の高さはやはり特筆もの。中盤から先、エンディングへ向けての展開はバンドの作曲能力の高さが現れている。
The Taste Of Regret
転調や起伏が激しい、ドラマチック・スクリーモの傑作!
イントロからただ事ではないのだが、その後も徹底的にメランコリック。スクリームパートはヘヴィに、ノーマルvoのパートはメロウに、スローからファストまでテンポが頻繁に切り替わる。楽曲の構成の素晴らしさはもはや神曲のレベル。シンセのシンフォニックな表現がドラマチックさを盛り上げているのがいいね。
You Already Know You're A Goner
メタルコアっぽい入り方からいきなりピアノの乱入でビビる楽曲。
基本スローからミドルの楽曲だけど、やはりドラマチックさの表現力は凄いと思う。
We Came As RomansやThe Devil Wears Pradaを聴くならこれも聴け!という名盤中の名盤。
全スクリーモ/メタルコアファンのみならず、シンフォニック/メロディック・メタルを愛するファンは聴いておくべき。スクリーモ界の金字塔であり、今後も何十年と語り継がれるであろう傑作と断言する。