A Jury Of Wolves/Outline In Color

アメリカのメタルコア/スクリーモバンドが2012年にリリースした1stフルアルバム。
結成は2009年で、2010年(日本では2011年)にデビューEPをリリース。日本盤リリースはGarimpeiro Recordsで、これが本国よりも日本でかなりの話題になった。そもそも、現在もどうやら日本以外ではレーベル契約が無いらしい。メンバーは6人で、ツインギター編成&クリーンvoとスクリーマーがどちらも専任で在籍している大所帯。シンセ奏者はメンバーにはおらず、Facebookでは"Macbook"と記されている。

2010年のEPではメタリック・スクリーモ/メタルコア路線を基本としながら、アクセントとしてピコったシンセを導入するスタイルをとっていた。いわゆるIN Fear And Faithタイプのサウンドだが、IFAFよりはクリーンvo比率が高いかなという感じ。ただ、シンセコアとハッキリ呼べるほどシンセサウンドは強調されておらず、どちらかというとツインギターのリフやメロディを前面に押し立てているのが特徴的だった。
そして本作の1stフル。基本的な路線はEP同様にメタリック・スクリーモと呼べるものだが、EPより圧倒的にドラマチックさを強調した楽曲を揃えてきた。EPでは軽快なノリの良いイケイケサウンドだったが、本作ではアグレッシブさとメランコリックさを対比させた押し引きのある楽曲展開を見せている。
そうしたドラマ性の強調に一役買っているのがシンセサウンドで、明らかにEP時よりもフューチャー率は高くなっている。本作で完全にシンセコア化したと言ってもいいだろう。ただ、シンセコアと言ってもピコリーモ系のチャラさは皆無で、シリアス系…IFAFやWe Came As Romans系のドラマチック・シンセコアだ。
シンセは増強されたがギターが薄くなったかというとそうでもなく、ピロピロしたギターサウンドは相当な叙情性を発揮している。この手のスクリーモでは頑張っている方で、なかなかに流麗なフレーズを見せたりもするのがメタリック・スクリーモらしい。まぁ、ツイン編成だし、これぐらいはやってもらわないとね。
力強い強烈なスクリームと伸びやかなクリーンvoの絡みはツインヴォーカル体制の醍醐味と言えるもので、パートごとに切り替わるというよりはほとんどデュエットしているような感じ。スクリームパートでのグロウルはブルータルさを増強しているのはもちろんのこと、クリーンvoのバックで音に厚みをもたらす効果的な使われ方もしている。特にメランコリックパートでのスクリームはクリーンvo以上に強烈に響いてくる。

やだ、やはりこのバンドの特色はクリーンvoパートと言えるでしょう。

凛とした静寂感を持つシンフォニックパートの美しさ。綺羅びやかな美しさを前面に押し出すバンドではなく、あくまでも透明感に拘ってるのが素晴らしい。スクリームパートの激しさがあるからこそ際立っている。

 

IFAFやWCARが好きなら迷わず買いの一枚。チャラくないピコリーモ/シンセコアファンにオススメする本年でも屈指の好盤だ。EPとは若干路線は変わったが、このバンドは明らかに成長したなと思った。

 

Jury of Wolves - Outline In Color

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