In Fear And Faith/In Fear And Faith

アメリカ出身のスクリーモ/ポストハードコアバンドによる2012年リリースの3rdアルバム。
リリースレーベルは引き続きRise Records。
メンバーチェンジがあり、まず専任スクリーマーのCody Andersonが脱退してクリーンヴォーカリストであるScott Barnesが両方を兼任する形となった。また結成初期のリードヴォーカリストであるJarred DeArmasがベーシスト&バッキングのヴォーカリストとして復帰。リズム・ギターもチェンジしている。
リードヴォーカリストとしては現The Word AliveのTyler "Telle" Smithを間に挟んでいるので(デビューEPの""Voyage"期)、Scott BarnesとJarred DeArmasが同時期に当バンドに在籍したことはない。
ちなみにシンセアレンジはリードギタリストが担当(ライブではプログラミングで再現)。

1stで大胆なシンフォニックサウンドを導入したスクリーモを披露し、ピアノを使わせたらスクリーモ/メタルコア/ポストハードコア界随一とも呼ばれる彼らの、バンド名を冠した入魂の3rdアルバム。
サウンド的なスタイルは2ndアルバムを引き継いだもので、1stのような大仰なオーケストレーションや起伏の激しい展開は影に潜めて、シンプルな展開を持つ楽曲の上にシンフォニックアレンジを加えた形となった。よりアグレッシブさのあるサウンドスタイルを押し出している。ただシンプルとは言っても2ndほど平坦な印象は受けず、1stでのダイナミックな曲展開も受け継ぎ、ドラマチックさは確実に増強されている。
In Fear And Faithらしさをとも言えるシンフォニックアレンジは1stから2nd本作に至るにつれ徐々に減少を辿ってはいるが、単純にシンセパートを削ったというよりは楽曲の中で押し引きを重視して効果的な使用方法に行き着いたと言っていいだろう。実際、ほぼ絶えずシンセが鳴り響いていた前作&前々作と比較して一聴したところではそれほどシンセアレンジが少なくなったようには感じられない。そうしたシンセを前面に出したり抑えたりするアレンジが楽曲にダイナミズムとドラマ性を与えているという面もある。
アグレッシブなパートと聴かせる歌メロパートの対比がよりハッキリとして進化。このあたりの押し引きもあって、路線は2ndと同じなのに前作で見られたのっぺりとした印象は薄れている。ヴォーカル的にはメンバーチェンジの影響もあってかスクリームのフューチャー度は圧倒的に低くなりクリーンvo主体、スクリームは必要最低限となっている。そのため、音の聴こえ方としてはスクリーモというよりはポストハードコアに近くなったと感じる。元々からしてスクリーモ的な音作りよりはメロディ主体のポストハードコア寄りであったため、路線変更といった感じではなくバンドが本来目指しているサウンド形態に収まったという感じ。

2012年リリース作としてはトップクラスの完成度。バンド名を冠しただけあり最高傑作の仕上がり。
ダークな色合いのメランコリーとシンフォニックアレンジを持った音楽性だけに聴き手を選ぶと思うが、メロディックなポストハードコアファンに激しくオススメ。これだけの作品はそうそう現れないと断言する。

 

In Fear and Faith - In Fear and Faith

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