At Heart/Miss May I

オハイオ出身のメタルコアバンドが2012年にリリースした3rdアルバム。

2008年、メンバー平均18歳、デモ音源のみの状態でRise Recordsと契約。2009年に2stをリリース、以降本作に至るまで同レーベルで大事に育てられたバンド。現在のメンバー平均年齢も22~23歳くらい。 

来日公演が2回発表されて2回ともに中止となったため、2012年6月時点で来日無しのバンド。

 

1stは良くも悪くも普通のメタルコア。教科書通りプレイしたみたい。バンドとして良い作品を作ろうと意気込んだらこじんまりと纏まってしまった感じ。悪くはないけど、何か印象に残らない普通の作品だった。

で、2ndでバンド本来のポテンシャルが炸裂したような化けっぷり。うん、良かった。1stに負けず劣らずの王道メタルコア路線で、As I Lay DyingとかThe Devil Wears Pradaの焼き直しじゃないか!と言われれば確かにそうだけど、似ていようがパクリだろうが良いものは良い。2ndは名盤。これは買っておけ。

 

そして、前作から約2年ぶりの本作3rd。

ちょっとした気持ちの変化が、大きな音楽性の変化になったのかな、と感じた。

Miss May Iはブレないな、というのが第一印象。自らのスタイルは崩さない。The Devil Wears Pradaだよね、っていう良い意味でのフォロワー的サウンドに変化はないけれど、よりメロディアスな方向へ舵を切った作風になっているのが特徴だ。前作も相当にメロディ重視ではあったが、本作では特に歌メロの部分をより磨きをかけたように感じた分、アグレッシブさという面では前作からかなり減退しているように思う。

前作からの正常な進化を求めるなら、ハイテンションでアグレッシブな面やブレイクダウンの取り入れ方を突き詰めるべきだったのだろうが、何故かそういった面は置き去りにされてメロディの部分のみを進化させているように聴こえる。こうした音楽性を進化と捉えるか変化と捉えるか、ファンの賛否が分かれそうだ。

メロディアスになったのと同時にリフワークにテクニカルなフレーズやドラミングが多用されているのと、展開面でより起伏が激しくなったのも変化と言えるだろう。前作までと違って闇雲に突っ走る場面はほとんど見られなくなった。バンドとしてはキッチリと統制が利いて、整然とまとまり感のあるサウンドだ。

 

Hey Mister

前作までの延長線上にあるメタルコア楽曲。それなりにアグレッシブではあるけど、メロディアスに疾走しているのが特徴と言えるかも。ただ、サビでの歌メロが弱いかな、と感じてしまうのは残念なところ。

 

Found Our Way

全体的にメタリック・スクリーモ的な楽曲。疾走パートのメロディの作り込みは素晴らしい。3分にも満たない楽曲なのでブレイクダウンも無く、中弛みも感じずに一気にラストへ傾れ込むのが気持ちいいかも。

 

Live This Life

実は本作で一番気に入ってるのがこの曲。基本テンション高めなのがイイし、何気にクリーンvoがコーラスやバッキングに徹してるのが好きだ。メロディック・メタルコアとしてはこの方向に進んでもらいたいね。

 

完成度は非常に高いと思うが、魅力的かどうかで考えると評価が分かれそう。

メロディック・メタルコア、あるいはスクリーモ寄りなサウンドへの変化が感じられるので、前作までのハイテンション・アグレッシブ系サウンドが好みなら考えた方が良さそう。だが、メロディ重視、特に歌メロの作り込みを重視するメタルコアファンには余裕でオススメできる。TDWPファンは買いの一枚だろう。

今後、このバンドはスクリーモ化していきそうな気配がする転換点となりそうな作品だ。

 

At Heart - Miss May I

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