Blessings From A Blackened Sky/The Sorrow

バンド名やバンド・ロゴ、ジャケットのアートワークから想像するにシンフォニック・パワーメタル系とかエピック・メタル系のバンドっぽいんだが、それらとは全く持って接点の無いオーストリア出身のメタルコア・バンド、2007年発売1stフル。

一概にメタルコアと言っても激しいのからスクリーモっぽいのまでいろいろあるんだが、このバンドのサウンドは王道・直球メタルコア。オーストリア出身だからといってドイツ寄りの激烈メタルコアではなく、AtreyuとかAs I Lay Dyingなどの米産により近い。
Atreyuのvoを持ったStill Remainsの1stといった感じ(笑。
メンバー自らがKsEにインスパイアされたと言っているように、音楽性もプロデュースもそのまんま。しかしそれが粗悪コピー品になってない。
基本は米産王道メタルコアながらも、アグレッシヴな疾走パートにはスウェディッシュ・メロディック・デスメタル的な趣きを感じるものの、響くようなモッシュパートや伸びやかなクリーンvoの導入手法は完全にアメリカ的なもの。
とてもデビュー作とは思えないような完成されたメタルコア。

1~2曲目のElegy~The Dagger Thrust

1曲目の"Elegy"が50秒くらいの小曲(インストではない)で、まぁプロローグといったところだが、この小曲のハイテンションでアグレッシブな勢いがイイ。
本編"The Dagger Thrust"の畳み掛けるようなギターのイントロから吐き捨てるようなAtrety風のvo。クリーンvoの使い方も実にAtreyu的だ(←悪い意味ではなく、ね)。

4曲目のKnights Of Doom

疾走するイントロで惚れた、新世代メロデス的楽曲。
この曲、イントロがイイのはもちろんのこと、サビが秀逸。
サビに至るまではメロデスちっくに進行するのだが、一度目のサビが哀愁→爽快と色彩を変えながら伸びやかに展開していくのに対して、二度目のサビは激情的展開。特に二度目のサビで使われるオルガン?に感動した。アルバム中、俺的にはこの曲が最強だ。

6曲目のNumbers Of Failure

うねるようなメロディを持つ若干メロデス寄りの楽曲。
ミドルのパートは重く、疾走パートは切れのいいアグレッシヴさと、緩急を織り交ぜながら展開。中盤のモッシュパートから先の疾走感がいいね。

9曲目のHer Ghost Never Fades

変わったリフで突進するので、ノリ方が難しい(笑。
基本は重めのリフで展開して、サビで叙情性メロをさりげなく使用。サビメロも一筋縄では行かない不可思議メロ。これは、プログレッシブ・メタルコアとでも言えばいいのか?

もはやブームも終焉して、エモな方向かデスコアな方向へ行くしかないと思われていたメタルコア界に、王道路線を追求しつつこれほど良質なバンドが現れたことに驚いた。それも意外や意外、欧州はオーストリアから!
Atreyu、AILD、KsEなどのメタルコア・ファンはもちろんのこと、Sonic Syndicateなどの新世代メロデス・ファンにもアピール出来そうだ。
基本的には奇のてらったところはないので、安心して聴けるアルバム。

 

2009.01.28初出

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