Chasing Ghosts/The Amity Affliction

オーストラリア出身、メタルコア/ポストハードコアバンドの2012年リリース3rdアルバム。

Roadrunner Recordsのオーストラリアに所属。日本では話題どころか「誰それ?」状態だったが、本作でようやく日本デビュー。どうやら、ほぼオーストラリア国内のディールだったらしく、本作で日本以外にもアメリカやヨーロッパ各地でもリリースされることになった。ちなみに、前作はオーストラリアチャートでも6位を獲得。本作では本国でついに1位(メタルバンドとしては快挙と言っていい)。オーストラリアのミュージックアウォードにもノミネートされているくらいなので、本国では相当な知名度を誇るバンドである。

本作のプロデューサーはMichael "Elvis" Basketteで、LimpBizkitやStory Of The Year、日本のFactのアルバムをプロデュースしたこともある。BlessthefallやA Change Of Paceなんかもこの人。

アルバム収録時のメンバーは前作から不変だが、本作リリース後にリズム・ギターのImran Siddiqiが脱退(というか、元々サポートメンバーだったらしい)。後任もサポートメンバー扱い(ツアーのみの参加)。

 

オーストラリアのメタルコア/ハードコアシーンというと、I Killed The Prom QueenやParkway Driveといったガチムチ系の漢メタルコアというかハードコア色強めだったり、何故か北欧系…スウェディッシュなメロデスっぽさの入ったメタルコアを思い浮かべてしまうのは自分だけではないはず。だがこのバンドはそうした"いかにもオーストラリアン"なメタルコアとは違って、もっと柔らかくてキャッチーなサウンド。メタルコア寄りのポストハードコア、あるいはメタリック・スクリーモと表現してもいいのかな、という感じ。

基本路線は前作までと変わらず、ある意味"The Amity Afflictionサウンド"とも言えるクリーンvo多めのメロディック・メタルコア/メタリック・スクリーモ路線。スクリームパートは相変わらずブルータリティを前面に押し出すようなスタイルではないが、アグレッシブさは前作よりも若干強めかなと思う。まぁ、そのあたりはプロデューサーが変わった影響かもしれないが。楽曲展開に関しても前作までと同様にスクリームパートと歌メロパートを分離することなく、スクリームとクリーンが頻繁に切り替わり、またクリーンのバッキングとしてスクリームしていることもある。スクリームとクリーンの比率は五分五分、あるいは若干クリーンの方が多めかな。クリーンvoはベーシストが兼任して、スクリームが専任ヴォーカリストとなっている。

 

前作でも若干の叙情性は見られたのだが、本作では明らかに叙情性を強めてきた。歌メロは前作までもかすかにリリカルな部分はあったが、若干アグレッシブになった楽曲に若干リリカルさを押し出した歌メロの相乗効果で、より歌メロのメロディアスさが強調されることになったのは大きい。もちろんメロディアスかつリリカルな歌メロによってスクリームのアグレッシブさが活かされているのも本作の聴きどころの一つ。

前作では専任のキーボーディストが存在していたが、本作では専任という形では在籍していない。元々シンセの重要性は薄いバンドであったため専任者が必要かどうかは微妙であったが、本作においては前作以上にシンセが導入されているように感じる。だからといってピコリーモ/シンセコアの類に変貌したとかそういうわけではないのだが、シンセによるピアノ音の挿入やシンフォニックなアレンジが見られる。前述の通り若干叙情性の増した歌メロを効果的に盛り上げるという意味ではこうしたアレンジは個人的に大歓迎。特にバックでさり気なく鳴り響くピアノ音は感動的。"I Heart H.C."とか"Bondi St. Blues"などは特にピアノがステキ。

 

The Amity Afflictionの過去作が好きなら安定のクオリティなので迷わず買いの一枚。

このバンドが初めてでも、We Came As Romans、Bury Tomorrow好きならマストだろう。

 

Chasing Ghosts - The Amity Affliction

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