米国のスクリーモバンド、2010年リリースの2ndフル。
湿っぽい部分が英国を感じさせるものの、実は米国出身という個人的には意外なバンド。
1st後にメンバーチェンジがあり、GとKey以外が全て入れ替わった。
各所で絶賛される新voは、確かに前作に比べてスクリームもノーマルも表現力が大幅にアップして安定感が生まれていると思う。が、他の入れ替わったメンバーも合わせて何か化学反応でも起こしたのか、スクリーモ路線は同じながらもエモ部分を減退させてメタルコア的なスクリーモ路線に乗った作風となった。
このメンバーチェンジは大正解と言っていいと思う。
音楽性はエモ系スタイリッシュ・スクリーモではなく、特にアグレッシブなスクリームパートは攻撃性を前面に押し出したメタルコア的スクリーモサウンド。低めのスクリームからシャウトまで自在に操る新voの力量が存分に発揮されていると思う。対してノーマルvoのパートは叙情感を大量にぶちまけたメランコリックなメロディが魅力的なエモーショナルサウンド。こうした叙情的なメロディが米国系というよりも英国系を思わせる所以。ブレイクダウンの導入も曲にメリハリをつける意味で効果的だと思える。
大活躍しているシンセは、ほぼピコリーモ一歩手前という状態。これ以上シンセを投入したらエモ部分を減退させた意味が不明になるほど軽いサウンドになっただろう。その辺りはアレンジの上手さなのか、絶えずピコピコと鳴っているわけではなく、スリリングに盛り上げる役目であったり、空間的な広がりを持たせるためであったり、メロディに花を添えるような役割であったりと、その時々でしっかりと印象的かつ効果的にシンセを導入している。ヘタしたらトランスコア/ピコリーモになるところだったよね(笑
あまり語られないが、Gがかなりイイのもポイント。サウンド的にも前面に立っており、叙情的でメロディアスなフレーズを聴かせます。スクリーモだけどメタル的な方向性も多分にある。
リーダートラックなのでインパクトは大事だが、この曲にはそれがありすぎ!
この曲は正にアルバム全体を象徴しているように思う。スクリームパートのヘヴィさとメランコリックなサビのメロディ。Gとシンセの印象的な仕事ぶり。ドラマチックな展開。完璧すぎです!
7曲目"Visions In Sleep"
スタートからアグレッシブでいいね。スクリームパートは重めで展開するが、ノーマルvoのサビは若干湿っぽい感じでメロディアス。疾走するパートがハッキリと際立っているのが大好きなポイント。
9曲目の"A Slave, A Son"
アグレッシブなスクリームを轟かせたかと思うと、サビで朗々と歌う。バンドの持ち味が存分に発揮されてます。サビ後の落ち着いたパートもアクセントが効いててイイよね。その後のシャウトも好き。
シンセが無機質系でスクリームパートに被っているけど、ちょっとそれが微妙かな。
11曲目の"Antithesis"
かなりドラマチックな展開を持ってる楽曲。イントロから不穏な空気を漂わせて、スクリームパートで幕を開けるという展開。ギリギリでスクリーモ、へたしたらメタルコアっていう楽曲。
純粋スクリーモサウンドは個人的に肌に合わないので、こうしたメタル的スクリーモは大歓迎。
1stは英国風サウンドでよかったけど、ホントに地味な作風だったから大化けもいいところ。
系統で言えばThe Word AliveとかCasino Madrid、スクリーモ化したWe Came As Romansかな。起伏の多い展開だけど疾走曲が多いのでそれほど難解には感じない、ある意味稀有なバンドだ。