The Union Of Crowns/Bury Tomorrow

2012年リリース、UK出身ポストハードコア/メタルコアバンドの2ndアルバム。
1stは英国ではBasick Records、日本と米国ではArtery Recordingsからリリース。本作からNuclear Blast所属となってメジャー配給となった。BFMV、BMTHに続くUK新世代メタルバンドの筆頭候補。

2009年リリースの1st"Portraits"は掛け値なしの傑作だったと思う。
メタルコア然としていないメタルコアといったサウンドで、ハードコア系のグルーヴ感やビート感を前面に押し出さず、ブレイクダウンも強烈に落とすのではなくソロパートやスクリームを載せていたり時にはメロウなメロディで覆うなどして見せ方を工夫。いかにもUK産らしい叙情系メロディック・メタルコアで、あまりのメロディアスさからハードエッジなスクリーモあるいはモダンメタルの一種といってもいい音楽性だった。
衝撃的な完成度を誇ったデビューアルバムで、今後どうすんの?と心配するほどでしたね。

さて、3年ぶりの本作のサウンドはというと、よりメタルコアらしくなったように思う。
前作ではそれほど強調されていなかったスクリームパートでのグルーヴ感がハッキリと感じられることと、ブレイクダウンに関しても強烈な落とし方を見せるようになった。メタルコアらしいバッキングも前作とは比較にならないほど大量に取り入れており、重量感を印象づけるサウンドとなって現れている。
特にブレイクダウンでの落とし方は強烈の一言。前作では見せ方に変化をつけていたが、本作では明らかに存在感を強調する方向へ走っている。前作で見られたスクリームパートでのメロディアスな疾走感も減退しており、変わってヘヴィネスやブルータリティをミドルテンポで表現している。プロデュース的にも低音を強調したサウンドとなっており、メインストリームな現在進行形のメタルコア的方法論に沿ったもの。
ハッキリと言えば、1stでBury Tomorrowというバンドを強く印象づけた要素の半分くらいは消滅・変化してしまったようだ。メインストリームなメロディック・メタルコアになったとも言えるだろう。
"Bury Tomorrowの新作"としては残念な変化だと言わざるを得ない。

では、Bury Tomorrowとしてどうなのかということを考えなければどうなのか。
正統的なメタルコアとしてのグルーヴ感とヘヴィネスを前面に押し出しつつ、UK産らしい叙情的なメロディも十二分に発揮。スクリームパートの作り込みは一般的なメタルコアの方法論に沿ったものだが洗練されたモダンさを見せており、対してノーマルvoのパートは伸びやかなメロディを配した前作同様の冴えを見せる。
やはりこのバンドのキモとなる部分は、叙情的なメロディによるノーマルvoパートだろう。
ハスキーな声質のノーマルvo。このハスキーな声が伸びやかでメロウなメロディにしっかりとマッチしていると思うし、この手のジャンルではあまり見かけない声質なため強烈な印象を与えることに成功している。
リード・ギターの繰り出すフレーズの数々も非常に魅力的。重いハードコアパートと対比する形で叙情的なメロディが大量に押し寄せてくる。このあたりのメロディは前作を完全に踏襲する要素で、激しく重くなったサウンドからすればメロディはより輝いて見える。こうした対比を作り出すのは成長の証なのだろう。

 

An Honourable Reign
哀愁感のあるノーマルvoから入るのはすごくいいと思う。その後のスクリームパートのアグレッシブさと上手く対比出来ている。本作らしいヘヴィネスと前作のメロディを融合したようなサウンドかな。

 

Abdication Of Power
疾走する王道的メタルコア楽曲。本作での重く・激しく路線を色濃く残しながら、メロディアスに疾走するのはいいね。サビのメロディはアルバムで一番好きだし、中盤から先が怒涛の展開なのもポイント高い。

前作からは若干の変化がある音楽性だが、クオリティ的には極めて高い。
スクリームパートではオーソドックスなアメリカン・メタルコア的サウンドでありながら、ノーマルvoパートではこのバンドにしか作り得ないであろう"エモい"といったものとは完全に違うメロウなメロディがふんだんに取り入れられている。Bury Tomorrowの芯の部分は決して前作と変わったわけではないということだ。
前作のファンが本作を受け入れられるかどうかは、スクリームパートがカギとなるだろう。

 

The Union of Crowns - Bury Tomorrow

現在ヘビロテ中!

Twitteやってます!