Suicide Party/Last Chance To Die

ドイツ出身のメタルコア/メロデスバンドの2012年リリース1stフルアルバム。
バンド結成自体は2006年で数枚のデモ/プロモCDとライブ活動を行なった後、2008年に最初のEPをリリース。2010年にドラマーがメンバーチェンジ(当時18歳だとか)。その直後から本作のレコーディングは開始された模様だが、なぜここまでリリースが遅れたのかは不明。※facebookからの情報です。

ドイツのメタルコアと言えばHeaven Shall Burn & Caliban & Maroon & Myraを筆頭に骨っぽいサウンドが特徴的だが、このバンドも大部分はその系統に沿ったガッツ系メタルコアだ。ただ、Fall Of Serenityのようなメロディック・デスメタル要素も取り入れており、同郷バンドで言えばMyraに近いと言えるだろう。
やはりドイツではHeaven Shall Burnの影響力は絶大なようで、重戦車的突進スタイルを取り入れながらMyra的なギターメロを載せて疾走するデスメタリックな要素も併せ持つ。ただ、グルーヴ感や強烈な落とし込みのプレイクダウンパートといったメタルコア的な方法論を用いつつ、メロディアスなフレーズをこれでもかと投入して疾走するスタイルはMyraそのもの。…と書くとフォロワー的に見えるかもしれないが、同郷の先人達の良い部分を巧みに組み合わせたことでフォロワー的な感じはあまりしない。特にHSBに対するNeaeraのようなあからさまな弟分的サウンドではないのは確か。まぁ、"ドイツ的"であることは確かだけど。
最近では珍しくシンセも導入しておらず、クリーンvoにしてもごく僅かでバッキング程度。このあたりは安易に時流に乗らなかったのは評価したいところ。また、そうした音楽性をとりながらもHSBフォロワーとはならなかったのも良いと思う。個人的にHeaven Shall Burnタイプの爆走型も好きだがそこには本家HSBを除いて未来があるとは思えないので。結局のところ時流がどんなに重く激しい音楽を望もうとも最後はメロディに行き着くのは必然なわけで、その点ではMyra的にメロディを前面に立てながらも突進するスタイルで勝負してきたのは正しい道だと思う。…とは言うものの、なぜMyraが脚光を浴びないのか不思議なのだが
ギター的には攻撃性があってメタリックで、若干の叙情性を見せる場面もある。スラッシーに刻む場面からメロディアスなパートへの流れ、そこからのモッシュパート、再度のスラッシュパート…という黄金パターンは最高に気持がいい。メロディアスではあってもエモくならないのもドイツらしくていいと思う。

ただ、やはりドイツのバンドだよな…とは思う。HSBのような突進もCalibanのような刻む要素もMyraのようなメロディ疾走も併せ持っているので、ドイツ的な男メタルコアを望むファンにはドンと来い!だろう。
難点を言うとすれば、ドイツの先人達…HSBやCaliban、Maroon、Myraのような"押しの一手"が見当たらないことかな。Calibanのような凄まじい落差のメランコリックさはこのバンドには望むべくもないけど、問答無用の攻撃性とか突進力が弱いように感じる。かといって上質のメロディが存在するかというとそうでもない。バンド的に目指している姿はMyraだと思われるので、そこはもっと見習ってほしいかなと思う。

 

Suicide Party - Last Chance To Die

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