サンディエゴ出身の自称トランスコア・バンドの2011年発売1sフル。
シンセを多用し、それも自らをトランスコアと呼ぶ音楽性と聞けば『ピコリーモ系?』とか思うかもしれないが、実際のところエレクトロニックな要素を別とすればかなり強靭なメタルコアで、初期のAttack Attack!を想像すると大きく予想を裏切られる。
1stの前に発売されたEP"For Kings & Queens"を聴けば分かるが、当初からトランスコアを名乗るわりにはシンセが隠し味という感じで、音作りもGやDrを前面に出してkeyはかなり後方に引いたアレンジ。シンセの音色も華やかとかシンフォニックとかキャッチーなものではなく、サイバーテイストの効いたもの。タタキ文句ほどエレクトロサウンドではない。
1stではRISE系のメタルコアっぽいThe Big Sleepが好きだったなぁ。
で、この1stフル。自身のメタルコア度を更に増幅させた感じ。
ベースとなるのはデスヴォイスと表現したくなるような低音のグロウルと叫ぶような高音のスクリームを組み合わせたガリゴリのメタルコアサウンド。そこに伸びやかなクリーンvoを配置したキャッチーなサビメロ。まぁ、メタルコアと言ったらこうした説明になってしまうのは多くのバンドが同じ。ただ、このバンドはそこにサイバーテイストのシンセサウンドを、時折場違い的に導入するわけだ。メタルコアとしての音とシンセの音が一見不調和に思われながら、絶妙なサジ加減で効果的に使われてるので違和感は全く無いと言って良い。
1曲目はイントロなので略(笑
2曲目の4:42 Reminds Me Of Youから怒濤の聴き処ラッシュ開催!
いきなり疾走で突入ですか!
メタルコアっていうよりスクリーモに近いかも。特にRISE系の。シンセはこの後に続く曲よりはフューチャー度が若干高め。トランスコアと言われれば、まぁそうかもしれない。
3曲目のFightin' Wordsから本気モード。
イントロが特にいいよね。フェードインという処理が。
いかにもメタルコアっぽいイントロからグロウルパートに傾れ込んで、サビでは一気にキャッチーなポップ感。この落差がこのバンドの魅力。シンセの使用はかなり多め。
アルバムのイチ押しは4曲目のLife Sentencer
序盤はいかにもメタルコアだし、それもミドルなテンポで進むので微妙とか思う疾走系ファンも多いことと思うが、ブリッジ手前のシンセから転調しての盛り上がりで一変。シンセの音色は一貫してサイバーちっくで、それはサビに至っても同じ。というか、このサビメロは秀逸だよね。サビ後の本編に戻る際のシンセの使い方も絶妙だし。この低音のグロウルが俺は大好きだね。
5曲目のFantasy Vs. Realityもかなり好きな1曲。
イントロからスクリームパートへ至る流れは、どこかのアングリーミュージックかと思ったが、その後のクリーンvoパートのキャッチーさとどの曲にも増して狂ったように場違い的に鳴らされるシンセの音色がクセになる。てか、途中の喘ぎ声、ヤメロ(笑
ああ、よく聴くとあの喘ぎ声は新手のブレイクダウンパートなのか?
まぁ、こんな感じでマイワールドなシンセ奏者以外は至って普通のメタルコアなバンド。この我が道を行くようなシンセが無ければただのメタルコアバンドの一つでしかなかったのに、シンセ一つ…プロデュースも含めて…で頭一つも二つも突き抜けた感じだ。
House vs. Hurricaneをもっと骨っぽくした感じで、Asking Alexandriaあたりが好きだったり、Jamie's Elsewhereの方向性にLoveなら買って損はしないアルバムだ。