米国産クリスチャン・メタルコアバンドの2012年リリース5thアルバム。
2010年以来の新作だが、1stから一貫してクサメロ投入型の叙情メロディック・メタルコア路線を歩んできたバンドで、アルバムを重ねるごとに聴きやすくクサくなってきた。もちろん本作も方向性は一緒。
さて、前作も本作も…というか最初からずっとUnearthをトレースしたようなサウンドですが、それは本作も変わらず。若干のメタルコアっぽさを残しながら叙情メロディを載せて疾走するスタイルですね。
音楽性の説明のほとんどはUnearthと同じなので5th"Darkness In The Light"を参照…の一言で終わらせても何ら問題ないくらいだが、それだと手抜きしてるみたいなのでとりあえず語ってみる。
この音楽性に激しい落差のブレイクダウンがなぜ必要なのか理解に苦しむくらいメロディの立っているメタルコアで、Unearthをトレースしてるわりにはモッシュパートを活かす努力が見えるのは不思議だ。
ブレイクダウンに関しては外す気は無いらしいが、その見せ方の部分では展開面でのスローパートを配置するという考え方に変わってきたようで、楽曲が突進一本調子になるのを防ぐ役目をそれなりに負っている。ただ、ブレイクダウンを強調しすぎてる曲もあるのは事実でそうした曲のつまらなさは前作同様だ。
クリーンvoの投入も毎アルバム確実に増加しており、そのあたりはメロディック・メタルコア路線としては王道的処置なので正しい道を歩んでいると思う。ただまだ中途半端さは拭えず、「とりあえずクリーンvoを入れました」感がアリアリなので、もっと効果的なメロディを投入しながら使わないと意味が無い。
さて、ボロクソレビューのようだが、メロディの質はアルバム毎に着実にアップしている。
メタルコア的なリフやリズム系は本作では更に少なくなって、より王道メタル的なパターンに変化。それに伴って元々持っていた適度にクサくモダンなメロディが生かされる結果となり、メロディック・パワーメタル的な雰囲気が更に増強された。ギターの弾きまくりっぷりも適度で良い感じ。
アルバム的には、前半部がメタルコア色が強く、後半部がメロパワ的構成となっている。
何度も言うが、クリーンvoの使い方が全く効果的ではないので、スクリームかクリーンかどちらか一本に絞るか使いドコロを考える、またはメロディの質を変化させる等しないと意味を為さないように感じる。
ギターメロディがやはりWar Of Agesの生命線だな、と思う。そのメロディが本作でも輝いているのは大きなポイントだろう。これだけ素晴らしいと意味不明にネオクラスタイルを大々的に盛り込むバンド…Woe Of Tyrantsみたいなのもいるが、このバンドはその辺りの押し引きをしっかりと考えて弾いていると思う。
Immortal
メタルコア的な要素を多分に残しながら叙情メロディを投入。コーラスの使い方はWar Of Agesらしい。モッシュパートもそれなりに存在するが展開の中に上手く融合しているため、それと感じないかも。
With Honor
王道メタル路線に大きく歩み寄った楽曲だね。リフやリズム系もメタルコアらしくないのがいい。こうした曲は更にUnearthっぽく聴こえる。クリーンvoの使い方もアルバム中ではマトモな方。
Unite
王道メタル的なイントロからメタルコアへ変化するのだが、サビではメロデスばりに疾走するのが好きだ。中盤すぎのギターソロは長さもタイミングも絶妙で、比較的構成力の高さを感じる楽曲。
良くも悪くもWar Of Agesらしいアルバム。
Unearthが好きなら全く同じ系統なので好みは合うはず。通常のメタルコア的ノリがイマイチ好きになれないメロデス・王道メタルファンはこのあたりからならメタルコアに入れるかもしれない、って作品。