米国産メタルコアバンドの2009年リリース4thアルバム。
本作からドラマーが元Cadaveryne(voのMatt McChesneyも過去に在籍)のBrian Sculleyに交代。ただしアルバムのクレジットでは前任のJonathon Leeが記されている。
2012年現在活動休止中。
音楽性としてはメロディック・メタルコアなのだが、前作の路線を更に推し進めようという意志があちらこちらに見受けられる。リフやリズム系のバッキング部分は前作以上にメタルコア離れが加速しており、ブレイクダウンに関しては歌メロやスクリームあるいはギターソロ等で覆い隠されてそれとは認識できない状態で、楽曲内の展開で言えばもはや起伏を生み出す効果しか与えられていないので強烈でもなんでもない。
この音楽性に至ってはメタルコア的な要素は減少させた方が良いと思うし、特別さほどの魅力も放っていないブレイクダウンに至っては特に不要だと感じる。そういう意味では未だに多少のメタルコア要素は残っているもののメロディックなこの路線は大歓迎だし、この路線で完全統一を図って良いとも思っている。
予想していたメロデス化ではなくメロディック・メタルコア路線を進めることでバンドの方向性を固定したのかなと感じるアルバムで、It Dies Todayと同じ道を歩んでいますね。オーセンティックなメタル系サウンドを持ち込んでメタルコアをやる、みたいな。ポストハードコア的な方向性と言ってもいいかもしれない。
ツインリードのギターが魅力的なのは前作と変わらずかそれ以上。ギターソロ以外はそれほど自己主張は激しくないのに、バッキング面でもメタリックでテクニカルなフレーズをバンバン投入してくるし、メロディ面ではMichael Amottばりにクラシカルで流麗なギタープレイをこれでもかと乱舞させてくる。
The Curtain Hits The Cast
オーセンティックなヘヴィメタルとかアメリカンなパワーメタル路線を狙ったような曲だなぁ。
イントロからドライヴしなくりのギターサウンドでスタートして、It Dies Todayをそのまま持ち込んだようなサビメロに突入。純粋にブレイクダウンと呼べるようなパートが存在しないのは正解だと思う。
Venus Mourning
この曲にはブレイクダウンもモッシュパートも存在しませんね。クリーンvoパートのヴォーカルメロディはエモいのに、バッキング面はメタルコアそのままという不思議な曲。エンジニアリングの失敗か?(笑
Requiem
タイトルソングなので相当に気合が入ってる。ドラマチックだねー。クリーンvoの使い方がいいよね。
メロディック・メタルコアと言えばそうだろうが、It Dies Todayが枠内から外れているようにこのバンドもメタルコアの範囲から抜けだしそうな気配が濃厚。すでにポストハードコア的な流れも併せ持っているので、今後はよりメロディアスな方向へ流れていくだろう。それが必然とも思えるサウンドでもあるしね。
…と思うところだが、このレビューを書いている2012年にはすでに5th(2010)もリリースされていて、本作4thから1年2ヶ月というわずかな期間で何があったのか知らないが、メロディアスどころかブルータルな方向へ音楽性が変化し、デスコアというかスウェディッシュなメロディック・デスメタル化したわけだ。
確かに2ndや3rd辺りでメロデス化するかなとは思ったけど、まさかこの方向性のメロデスに変化するとは夢にも思わなかったし、ハッキリ言ってショックでした。いくらなんでもそりゃないだろう、と…
そう思ったファンが多かったのかは知らんが、本作をもって不定期活動休止。
解散ではないらしいので、またあのメロディック・メタルコアが聴ける日を楽しみにしています。