オーストラリア産シンフォニック・デスコア/デスメタルバンドの2012年リリース1stフル。
1stリリース後、つい最近になってRoadrunner Recordsと契約を交わす事ができた。
サウンドを一言で表現するなら、もうアホか、と。
音楽性の基本は、全くモダンさの欠片も無いデスメタル/デスコア系、あるいはブラック・メタル系。ポイントは"メロデス系"の要素が希薄なのにシンフォニックであるということ。サウンドが想像できますか?
シンフォニック・デスメタルと言われれば一般人はメロディック・デスメタルにシンフォニックなシンセなりを加えた音楽性、すなわちDark Lunacy等のバンドを思い浮かべるだろう。ある意味、シンフォニックであるということはメロディックであることと同意なのだ。だが、このバンドの場合はデスコアサウンドの中にシンフォニックな要素をぶちこんだ"だけ"という荒っぽいというかクレイジーな音楽性で登場した。
ただシンフォニックな要素を入れた"だけ"なのだからピアノのメロディはデスコアと融合することもなく、ただそこに存在しているだけ。融合させようとした気配すら見えない。『シンフォニックなデスコア』ではなく、『シンフォニックとデスコア』という状態。目指した方向性が自分には一向に理解出来ない作風。
アヴァンギャルドなデスコアと言った方がいいんじゃないのか? …というような音楽だ。
たぶん、この作風の中からシンフォニックな要素を完全に消し去っても若干メロディアスなデスコアになるだけで一個の曲として破綻する事はない。それくらいシンフォニックな要素は浮きまくっている。
こう書いていると駄作と思われるかもしれないが、これが妙に印象的だから困る。
シンフォニックな要素は音楽性の中で場違いな分だけ存在の自己主張が激しく、メロディも儚く美しいので当然耳に焼き付くように残る。だが、ベースとなっているデスコアの部分にもメロディアスでメタリックなフレーズが散りばめられており、シンフォニックなメロディを聴いているつもりが実はそうしたデスコアの中のメロディを耳で追っている場面が度々ある。それはベースの音楽性がしっかりとしているからだと思う。
Neverbloom
バックでブラストビートをぶちかましてるその上で場違いなピアノのメロディが冷たく響く…と、実際に聴いてみると不思議世界の音楽です。更に女性voまで投入。狂ってます、マジで。でもカッコイイ!
この曲でビビッときたら、このアルバムはオススメ間違い無しです。
Chronicles
アルバム中でもファストな面を強調した楽曲。もちろんバックでは場違いなシンセが乱舞。シンセ無くてもメロディック・デスコアとして良く出来た楽曲だと思いますけどね。でも、このピアノがクセになる。
緩急もつけつつ、シンフォニックな面も上手く機能して、なによりメロディアスでもある。
この路線を磨いて、次作に繋げてほしいと切に願う!
この意味不明世界音楽は、好き嫌いがハッキリと分かれるだろうな。
聴いてみて判断するほか無いというのが正直な感想。
もしかしたらメロブラ好きにこそアピールできる作品なのかもしれない。