net. /Never See Tomorrow

オーストラリア出身のメタルコアバンド、2012年リリース1stフルレングスアルバム。
ローカルのインディーズバンドながら極めてレベルの高いメタルコアをやっており、当サイトでも度々話題にしているこのバンド。2008年か2009年なのかはっきりしないのだが8曲入りのEP"To The Depths"をリリースしており、「これでアマチュアって、どんだけだよ!」というくらいクオリティの高い楽曲がズラリと並んでいた。演奏もヴォーカルも、作曲センスもアレンジ能力もアマチュアレベルを遥かに超越していた。
同郷のI Killed The Prom QueenやParkway Driveなどに通ずる叙情系メロディック・メタルコアで、オージースタイルとも言える骨っぽいサウンドが特徴的だった。メタルコアにとどまらず、スクリーモやポストハードコア、オルタネイティヴ系からの影響も感じられ、非常にメロディアスな名盤EPと言える。

満を持してリリースされた本作1stフルレングス。
基本的な音楽性はEP時と変わらぬ叙情系メロディック・メタルコアながら、よりサウンドがマイルドになった印象だ。メタルコアらしいリズム系やビート感も増強されているし、モッシュパートやブレイクダウンの見せ方もオーソドックスになったのだが、以前から持っていたスクリーモ/ポストハードコア的な要素をここにきてかなり強く押し出してきた。スクリームパート/クリーンvoパート問わず全体的に叙情性が増しており、特にクリーンvoパートに関してはメロディラインがメランコリックさを強調するものとなっている。
EPでは圧倒的にスクリームの比率が高かったのだが、本作ではスクリームvoとクリーンvoが同等、曲によってはクリーンvoがメインと呼べるものもある。こうした部分もポストハードコア的であり、サウンドがマイルドになったと感じる要因でもある。前述のようにメロディアスさは格段にアップしているので、こうしたクリーンvo比率の増加は正しい方向への進歩だろう。実際、曲調から言っても無理にクリーンvoを入れ込んだようにも聴こえないし、適切で絶妙なタイミングとポイントでクリーンvoが挿入されていると思える。
メロディアスな疾走感とヘヴィでブルータルなスクリームパートに、リリカルなクリーンvoパートを合わせるというのが基本パターン。そうした各要素を最大限に高めた3曲目の"Break. Start."を筆頭に、アグレッシブさを際立たせつつしっかりとメロディック・メタルコアを実践している"Collidescope"、バンドのツインギター編成という面を強調したギターオリエンテッドなメタルコア曲"Follow The Phoenix"と良曲揃い。

サウンド的にはParkway Drive、All That Remains、Bury Tomorrowなどと同系。叙情系メロディック・メタルコア好きに激しくオススメだ。クリーンvoもメタルコアにしては少し多めではあるしメロディラインはキャッチーさもあるので、スクリーモやポストハードコア好きもすんなりと入り込めるだろう。
ちなみに、EPは彼らのFacebookで無料配布されているので必ずダウンロードすること!

 

Never See TomorrowのEPについてはこちら

 

Nst. - Never See Tomorrow

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