ドイツのトランスコア/エレクトロコアバンドが2012年にリリースした2ndアルバム。
日本ではRaintimeとかHeliaとかLiving CorpseなどをリリースしているRedtone Musicから発売されてたりするので知名度はそれなりに高いし、今現在のシーンど真ん中サウンドなので注目度も高い。
基本的にメタルコアの要素はほとんど無いですね。スクリーモ/ポストハードコア的なサウンドの上にトランス/テクノ要素を載せた音楽性。こうしたバンドの例に漏れずメロディのほとんどはシンセが作り出している状態で、時折メタリックなリフやらフレーズも飛び出したりするが、このサウンドの中ではそれもアクセント程度でしかない。ただ、ドイツのバンドだからなのかトランスコアバンドとしてはギターがメロディを弾いている比率もそれなりに高い。なので、軽すぎず重すぎずというバランスの良い作風がバンドの特徴だ。
一応ツインギター編成だがギターの一人はシンセも担当しているようなので、そのあたりがギターとシンセのサウンドバランスとして現れているのかもしれない。ただ、ライブではどうするんだろう? シンセは全てプログラミングで行うのか、それともサポートのギターなりシンセ奏者を加入させるともりなのかな?
ヴォーカルのグロウル率は曲によって様々だが、良くてノーマルとグロウルが半々、曲によってはノーマルが圧倒的に多かったりする。専任ヴォーカルはグロウル担当で、ノーマルはギタリストが担当している。
1st時から本作も音楽的には全く変化は無く、無理に曲の幅を広げようとしなかった事がかえって個々の曲のクオリティを底上げしているという結果に繋がったんじゃないかな。トランス/テクノ的な部分はそのままに、メランコリックで叙情的なメロディは良作であった前作を越えていると思うし、よりポストハードコア的な方向へシフトしたと感じる。1stのファンは安心の内容。もちろん2ndから1stを聴くのもアリだろう。
Miles
トランス/テクノ的な部分はほとんど無く、グロウルもほとんど無いポストハードコア曲。
サビメロが頭の中でリフレインする!
3分にも満たない楽曲の中で、スローからミドルハイまでテンポチェンジ。グロウルのパートはアクセントになっててイイ感じだし、もちろんメランコリックでキャッチーなサビメロは秀逸。泣けてくるよ。
Sorry For Killing The Spirit
すごーくオールディーズな感じのする楽曲で、何かのカバーかと思った。それくらい親しみやすくて覚えやすいメロディが魅力的。サビは一緒に唄うと良い感じ。グロウルが一切無いのも曲調からいって◎。
Forever... At All
ラストにとんでもない曲が!
バックのシンフォニックなシンセがメランコリックで良い味を出してる。メタルコア/スクリーモ寄りのメタリックなリフを披露しておいて、サビメロで華麗に転調。キャッチーなサビに鳥肌立ちました!
メタリックなパートとポップなパートの二面性が魅力的ですね。
今回紹介した曲はアルバム中でもトランス/テクノ系のカラーが薄い楽曲。本来はこうした楽曲がバンドの持ち味ではないのですが、上記3曲があまりにも素晴らしいのであえてピックアップしてみました。
もちろん、トランス/テクノ寄りの楽曲も良曲揃いで文句のつけどころがありません。
メランコリックで叙情的なメロディが好きな人にぜひ聴いてもらいたい傑作盤。