L.I.E. (Love Is Eternal)/Naily

ロシアのエレクトロコア/メロディック・デスメタルバンドの2012年リリース3rdアルバム(?)。
バンド結成自体は2004年らしいのでキャリア的には長く、2005年頃に1stをリリース、EPを挟んでの2008年に2nd、その後はヴォーカルのメンバーチェンジがあって本作のリリースに至る(Facebookより)。
1stや2nd、EPについての音楽性は音源が出回っていないため不明。

全体的に見ればシンセ多用型のメタルコアでトランスコア/エレクトロコアと呼べるサウンドだが、サイバー・メロデスやインダストリアル・メタルからの影響も感じられる。こうした部分は東欧系の"自称"メタルコアバンドにはよく見られる傾向で、「メロディックなメタルコアをやろうとしたらメタルコア的な要素がほとんど欠落してモダンメタルに近づいてしまう」という状態がほぼ再現されている。リズム系やリフワークについてはメタルコア的なものが随所に見られるが、ブレイクダウン/モッシュパートは一部でしか存在しない。
ロシアを含む東欧系のメタルコア/メロデスバンドがシンセを導入すると"少し"や"適度"といった状態では済まず、Fail EmotionsやIllidiance、Make Me Famousを筆頭に総じてバックの演奏を覆い隠すほどの厚盛りが特徴と言えるが、このバンドの場合はそれほどシンセを強めにはしておらず、強靭でメタリックなバッキングの上にシンセサウンドでデコレートしたような印象。その分、メタルコア/モダンメロデス感は強めで、音楽性はやや違うが方向性としてはCasino MadridやHis Statue Fallsあたりと同一と言えるかもしれない。
メロディ的には個人的に大好きな叙情性を含むもので、時にそれはメランコリックと表現してもいいほどの悲哀をたたえている。クリーンvoパートや特にエンディングへ至るアレンジ面ではメランコリーが強い。メンバー的にはハッキリ分からないのだが、ツイン編成だと思われるギターはバッキング面ではもちろんのことリード面でも活躍しており、耳を惹きつけるフレーズが随所で現れる。ただ、やはりメロディ的にはシンセが強いかなとは思うけど。ヴォーカルはスクリームというかグロウルとノーマル併用でノーマル多め。

 

Falling Down
前半はオーソドックスにメタルコアなのだが、シンセのノーマルvoが入ってからはトランスコアっぽく変化する楽曲。後半のサビ後に一度ピアノメロで落としてトランスっぽく終わる展開はカッコイイな。

 

Absolute
こちらはシンセ強めのトランスコアだがメタル感もかなり強め。Make Me Famousっぽいかな。サビメロの哀愁味がいいね。後半のサビ後に静かに落とすというのはこのバンドの黄金パターンで良いと思う。

 

Voices
ヘヴィなメタルコアをベースにシンセが上手くメランコリックメロディを載せていく楽曲。サビへの繋がりも自然でいいと思う。ところどころで挿入されるピアノの音色が感動的。これはホントに凄い楽曲だよ。

インディーズと侮ってるとガツンとやられるバンドであることは確か。これだけクオリティが高いにも関わらずローカルなバンドというのは悲しいよね。Make Me Famousが受け入れられる土壌があるのだから、このバンドもちょっとしたキッカケでブレイクする可能性はある。それだけ完成されたバンドだと思う。
His Statue FallsやMake Me Famousが好きなら聴いておくことをオススメする。

で、音源だが公式に無料ダウンロード可能になっている。
ただbandcampでも公式サイトがあり、価格は特に定まっていないがそちらでもダウンロード可能。もし視聴して気に入ったのならお好きな価格でDLするのもいいだろう(そちらで無料DLもできる)。

 

公式サイト - Naily  New Album "L.I.E. (2012)"

bandcamp - Naily "L.I.E. (love Is Eternal)"

Facebook - Naily Metal band from Russia

 ※DLした方は彼らのFacebookで"いいね!"をお願いします m(_ _)m

 

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