米国産プログレッシブ・メタルコアバンドの2010年リリース3rdアルバム。
1stは自主制作、2ndからSumerian Records所属となり3rdも同レーベルからリリース。
プログレッシブ・メタルコアだが、それは展開面でのことではなく内容的にはテクニカル・メタルコアと言う方が正しい作風。それでもそのテクニック面を誇示してマイワールド的に突き進むのではなく、しっかりと楽曲の構成面も練り上げた上で、メロディック・メタルコアとしての作品に仕上げているのが特徴。
メロディアスなプログレッシブ・メタルコアと言えば個人的にはThis Or The ApocalypseとWithin The Ruinsが双璧なわけだが、そこまで変態的なリフワークやメロディを駆使しているわけではなく、逆に程よいプログレッシブ感の中に時にクサメロ、時にキャッチーな歌メロを組み込んだスタイルで、あまりプログレッシブだと意識せずに聴ける。2ndのスタイルはWithin The Ruinsが継承した感じですけどね。
ぶっちゃけ、メタルコアとしてのビート感は乏しくメロディが全編で立ちまくってるので、プログレッシブがどうのこうのより、クサメロフューチャー型軽めテクニカル・メタルとして聴ける作品だろう。
メタルコア的な部分は2ndの方が遥かに強かった。本作では、そこを減じてもメロディによりスポットを当ててきたと思う。2ndのイメージでこの3rdを聴くとかなり面を食らうであろう変わり様だ。
ちなみに本作でvoがチェンジ。2ndまではノーマルvo無しでスクリーム一本の男らしさだった。
Pendulum
あまりテクニカルさもプログレッシブ感も無く普通にメタルコアかと思いきや、ブリッジからサビのメロディはかなりヤバめ。そこへの繋がりも自然で違和感ないのがもしかしたらプログレッシブなのかもね。
To Carry You Away
あらら? 何だろうね、この爽やかなメロディは?
リフワークなんかはメタルコアを基本としながら、リードのメロディはスクリーモ?とか思う伸びやかさ。全編がそういうわけじゃなくて、そういうメロディをアクセント的に随所に配置してるのがセンス高い。
Promises Kept
静かなストリングスから一気に弾けるのが好きな展開。これも普通にメタルコアっぽいかと思ったら、ブリッジからサビの切ないメロディで泣けた。ノリの良いメランコリック・メタルコアって感じかな。
前作はWithin The Ruinsと同系統だったが、本作ではメロディック・メタルコア化が激しく進行しているので、このアルバムを聴いて前作へ傾れ込むのは危険。逆もまた然り。それと、プログレッシブ感もテクニカル感もそれほど強くはないので、そういったファンが手を出すのもオススメできない作品。
ただ、クサめで叙情的なメロディを持ったメタルコアファンにはマストだろう。