オーストラリアのメタルコア/シンセコアバンドによる2011年リリース1stフルアルバム。
本国ではBoomtown Records、日本ではTriple Vision、米国・欧州等ではRise Recordsと契約。
音楽性はいかにもRiseが獲得しそうなメタルコアサウンドで、シンセ要素も適度に導入しているのが特徴。
ベースとなっているのは驚くほどオーソドックスなメタルコア。跳ねるようなビート感のあるリズム系にメタリックなリフを刻んでスクリームvoを載せるというアレね。そうした部分で突出したものがあるかどうかと聞かれれば、特にないね…としか言いようがない。リフ的にはテクニカルだとかユニークな要素があるわけでもないし、その他多くのメタルコアバンドがやってるような単にメタリックだというだけのもの。
リードに関してもサウンド的にはほとんど目立つような存在感は示しておらず、ごくたまーに叙情的とかメロウなメロディを奏でたりする程度で、フレーズやプレイ的にはこれといって語るべきものはない。
そもそも、アグレッシブなところがそれなりに感じられるものの攻撃性とまでは行かず、ブレイクダウンらしきパートも存在するが強烈さはあまり感じない。それに関しては落差が足りないというより、そのブレイクダウンのパートでギターやシンセがメロディックな要素を絡めてしまっているせいじゃないかと思う。
じゃあ、シンセが大活躍してるんでしょ?と思うかもしれないが、実際のところシンセサウンドもそれほど大胆に取り入れられているわけではなく、Casino Madridから少しだけシンセ要素を少なくした感じ。
ネガティヴな要素ばかりを並べてしまったが、これを駄作だと言ってるわけじゃないです。
まず、こうしたオーソドックスなメタルコア路線で勝負しているだけに楽曲の完成度は激高い。
全体的にスクリーム比率が圧倒的に高いのだが、少なめのクリーンvoによる歌メロパートの破壊力が凄まじすぎる点がアピールポイントの一つ。そもそもスクリームパートも含めて叙情性は高めなのだが、サビでの歌メロパートに入るとそれが一気に加速。メランコリックと言っていいほどの切なさが姿を現す。
シンセに関しては全編で鳴り響いていると言ってもいいがあまり前には出過ぎず自己主張も激しくない。それがかえってセンスの高さを感じるし、全体的なサウンドバランスの良好さにも現れていると思う。
それほど活躍しないわりにたまにリードギターが弾き始めると叙情的なフレーズが連発されるという、能ある鷹は爪を隠す状態のプレイ。全編で弾きっぱなしってわけじゃないからこそ魅力的に聴こえるのかも(笑。
Downfall
スクリームパートの作りはメタルコアとしては普通、歌メロパートに入ってからが本領発揮。クリーンvoで疾走したかと思えばスクリームでも疾走。すぐさまブレイクダウン。お手本シンセコア的楽曲ですね。
Come Home True Love
叙情メタルコア的楽曲。バックのギターサウンドがsつ無さを助長してていいですね。歌メロパートは更にメランコリックさが強くなる。アルバム全体的にバンドの方向性を良く表している楽曲と言っていい。
Lifestream
こちらは叙情メタリック・スクリーモ。アルバム中で最もクリーンvo比率が高い…というか、ほとんどクリーンvoでスクリームはバッキングに徹してる。個人的にはこの方向性に進んだ方がいいと思うんですが…
スローテンポな分、元々のメランコリックさが強調されていいです。
Casino Madrid、In Fear And Faithあたりが好きならオススメの好盤。
サウンド的には普通にメタルコアだけど叙情性はけっこう高めに設定されているので、歌メロ重視なメタルコア/スクリーモファンは買いの一枚。ただ、ハードコア系のメタルコアファンはスルーがいいと思う。