Endlessly Crashing/The Last Word

英国ロンドン出身のメタルコア/ポストハードコアバンドのデビューアルバム。
バンドの結成は2009年頃で、レーベル契約はまだ無くローカルなインディーズ状態。
メンバーはツインのギターとシンセを含む6人組。専任のヴォーカルが一人在籍しているが、スクリームとクリーンの両方を兼任している。同時に歌われているのはどうやら多重録音みたいですね。ライブとかどうするんだろう? ちなみに、プロデュースは"あの"Cameron Mizell。自主制作状態なのに、すげー!
プロデューサーといい、しっかりとしたPVとかも作ってるし、コイツら何者なんだろう?

音楽性はメロディック・メタルコアと言っていいです。最初から最後まで、メロディアスではないトコロはどこにもないくらい。そういう意味ではポストハードコア的なスタイルを多分に取り入れていますね。
専任のシンセ奏者もいるくらいなので導入具合もそれなりに多いのだが、シンセのサウンド自体があまり自己主張していないのは面白い部分。それゆえに、シンセコアと呼ぶには若干違和感がある。バンドも公言している通りWe Came As RomansやWoe Is Meの影響下にある。全体的な面で言えば、これもバンドが名を挙げているのだが、Memphis May FireやThe Devil Wears Pradaの路線といった感じだろう。
デビューアルバムにしてほぼ完成された音楽性と言ってもよく、大きく冒険した実験的な部分が無い代わりに非常に安定感があるサウンド。メロディック・メタルコアとしてはド直球と言える。演奏面でも堅実味があり、ごく僅かではあるがテクニカルコア/プログレッシブ・メタルコア的な要素も取り入れている。特にギターがさり気なく流麗なプレイを挿入しているのが好印象。ヴォーカル以外、楽器陣があまり自己主張してないんですよね。タイトでまとまり感がある?そんな感じのサウンド。このあたりも並の新人とは思えません。
ヴォーカル的にスクリームとクリーンが同比率くらいのポストハードコア寄りなのに、突進気味に疾走させてみたり、そこから強烈にビートダウンさせてみたりとメタルコアの方法論は大々的に取り入れている。そもそも、メロディック・メタルコアとしてはシンセやギターよりも歌メロ重視の路線なんですけどね。
それはそうと、このヴォーカリスト。かなりのテクニシャンですね…スクリームとクリーンを本当に兼任しているのならば、ですが。クリーンの方はこの手のバンドにありがちなハイトーン系伸びやかヴォイスで特に強調するトコロは無いですが、スクリームは低音の咆哮と高音の喚き声を使い分けているので、クリーンvoと併せれば相当に表現力が豊かです。特にスクリームの声質は個人的にも好みのタイプなので評価甘めです(笑。

個人的には"I Promise…"にヤラレました。メロディック・メタルコアとしてはド直球なのに、なかなかスクリームしないでクリーンvo主体なところが面白いし、シンセがあまり出しゃばらずピロピロとしたギターがかなり活躍してるところとかも好き。特にメロウさとキャッチーさが同居した歌メロがイイです。
とてもデビュー作かつ自主制作盤とは思えない堂々としたサウンドに驚きです。
We Came As Romans、Memphis May FireやThe Devil Wears Pradaが好きなら断然買い。音作りとしてはCameron Mizellサウンドなので、あのプロデュースが好きな人も安心して聴ける良盤です。

 

Endlessly Crashing - The Last Word

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