米サンディエゴ出身のメタルコアバンド、2012年発売の1stフル。
2010年にはEPを出していて、今回のアルバムはそれ以来の公式音源。
2010年発売のEPと今回のアルバム。基本的な路線は全く同じで、ミドルテンポ中心の楽曲の中に叙情的なメロディを盛り込んで、ピコリーモにならない程度にシンセを載せたもの。
スクリームのパートはドコンドコンといった感じで重く進行して、時折テンポチェンジして軽く疾走、サビはクリーンvoで若干のメランコリーを帯びたメロディが印象的。ギターを前面に押し出しつつも、シンセ…ピアノの音色を中心に絡ませて、全体的な雰囲気はシリアスさを感じさせる。
…と、まぁ、EPの頃もこんな音楽性だったわけですよ。なのに、残っている印象は無くて、久々に聴いてみても微妙。このEPの存在だけで考えてたら今回のアルバムは買ってなかった。が、偶然にもYouTubeで新曲を見つけてしまったわけですよ。そこにはこう書かれてました。
"ADESTRIA - Scarlet Letter ft. Scott Barnes of In Fear and Faith"
なんですって! In Fear And FaithのScott Barnesですか!?
もうそれだけで期待度大幅アップ。で、聴いて即ホレしましたよ。
EPの頃から考えたら、大化けもいいところです。
何度も言いますが、やってることは今回のアルバムもEPも大差ありません。なのに、聴いた印象は全く違う。楽曲の練り込み方、In Fear And Faith(以下IFAF)に学んだ部分は大きいかと思う。
まず、スクリームパートの力強さ。ミドルのパートはドコンドコンと重く進行、テンポチェンジも使って疾走してみたりと、このスクリームパートだけでもかなり聴き応えあり。そこにクリーンvoを使ったサビを導入するわけだけど、これがかなりメランコリー。以前も叙情的なメロディの導入に積極的ではあったのだが、今回は無闇矢鱈と導入していくのではなく、メタルコアそのもののスクリームパートと上手く対比させる形で効果的に導入しているように感じる。なので、より際立つし魅力が増してる。
基本がミドルで進行するのでテンポチェンジして疾走すると、そのパートにスポットライトが当たったようにかなり目立つ。そういう意味でサビのメランコリックさも含めて楽曲の中で個々のパートがお互いに効果的に機能して、それぞれのパートに相乗効果を与えていると思う。
シンセの使い方はEP時とは大きく違って、シンフォニックな演出が目立つ。
何はなくとも、10曲目の"Scarlet Letter"で即買い決定した。
ザクザクと突進するスクリームパートから始まって、ドカンドカンと重いミドルパートを経て、哀愁味のあるサビメロに突入! サビの後の爆走パートの演出も大好きなポイント。
どこかしらIFAFを想起させる部分を感じるのはシンセの使い方のせいかもしれない。
3曲目の"Whiskey For The Soul"も大好きな曲。
イントロからシンフォニックな展開でIFAFっぽいかと思ったら、そこからはガツガツとした直球メタルコア。バックのシンセがすごくいい仕事してる。こうしたシリアスな雰囲気を醸し出すシンセの音色は楽曲に合っていると思う。今回のアルバムの最大の特徴と言えるだろうね。
5曲目の"Outsiders"はノリのいい1曲。
シリアスな雰囲気はそのままに、全体を通して疾走感を前面に押し出してるのがいい。アルバムが基本ミドルなので、こうした曲は特に目立つ。やっぱりシンセが効果的だなと思う。
もう、アルバム全曲捨て曲無しの良盤と言っていいと感じた。
EPの頃から大飛躍、超進化! あれは何だったんだと言いたいくらい。
We Came As RomansやIFAFをもう少し重く激しくした感じ。The Devil Wears Pradaに近い感じもある。あとはAsking Alexandriaっぽいところも。その辺りが好きなら買って間違いなしの名盤だし、そうでなくてもメタルコアファンなら聴いておくべきと言える一枚。