US産メタルコアバンドの2012年リリース3rdアルバム。
2ndのリリースが2011年春だったので速いペースでの新作となった本作。レーベルは引き続きRise Recordsだし、プロデューサーも前作と同じくCameron Mizell。リズムギターがメンバーチェンジしている。
これだけ速いペースで新作をリリースすると音楽性に大きな変化があるわけではなく、前作の延長線上にあるオーソドックスなメタルコア路線となっている。プロデューサーを変えなかったことからも前作路線を引き継ぐ意思表示であると思う。それだけに前作と同じかそれ以上の高いクオリティで楽曲のツブが揃っており、よりメロディアスに、良い意味でスクリーモ/ポストハードコア的エッセンスを取り入れた作風となった。
メタルコアのエッジ感は前作よりもマイルドになっていて、ブレイクダウンの落差も前作ほどではないし、メロディの強調具合は前作を明らかに上回っている。リフやリズム系のバリエーションも確実に広がっており、ハードコア的な単調さから脱却しようという形跡が見られる。特にスクリームパートにおけるメロディアス度は前作の比ではなく、スクリームvoでヴォーカルメロディを追う形となっているのが大きいと思う。
スクリームパートの充実度に比例してクリーンvoパートのメロウさの質も飛躍的にアップ。そもそもクリーンvo比率も前作よりあがっているため、そうした面からもポストハードコアへ寄ったように感じる。
Alive In The Lights
メタルコアとしての基本を残しつつよりメロディアスになった前作の正常進化楽曲。特にクリーンvoパートのメロウに疾走する様は鳥肌もの。シンセの活躍度が高いのも本作の特徴だし効果的に使われている。
Vices
Memphis May Fireらしいメタルコア楽曲で、メロディアスながら攻撃的なスクリームパートとポストハードコアっぽいクリーンvoパートを組み合わせている。クリーンvoパートの充実ぶりが際立ってるね。
全体的に言って相当に高品質なアルバムとなった本作。
ただ、前作と本作を総合して今後はスクリーモもしくはポストハードコア化していきそうな気配がする。それは個人的にネガティヴなことではなく、こうしたメロディを磨き上げていけば必然だと思える。
前作同様、メロディック・メタルコアを愛するリスナーは買って安心のアルバムだ。