Boundaries/In Dying Arms

アメリカ出身メタルコア/メロディック・デスコアバンドの2012年リリース2ndアルバム。
バンド結成は2005年、2010年にデビューアルバムをリリース。2012年にArtery Recordingsと契約。

2010年の1st"Deprivation"ではメロディックな要素を気持ち程度含んだデスコアだったが、本作ではあからさまに路線を変更。デスコアスタイルをベースとしながらメロディックな要素を増強。デスコアにメタルコア要素を載せたというより、デスコアとポストハードコアを融合させたようなスタイルを提示してきた。
凄まじい破壊力を見せるヘヴィ&ブルータルなデスコアをベースに、北欧メロデスを思わせる叙情的でエモーショナルなメロディを載せて、ポストハードコアにも通ずるようなメランコリックなクリーンvoパートで締めるというサウンドは驚愕の一言。前作の"Blemish"あたりでもデスコアスタイルながらノーマルvoをフューチャーするという実験的な曲を披露していたのだが、その路線を推し進めた上で更なる進化を見せた。
こうして書くと「デスコアじゃなくメタルコア?」と思うかもしれないが、攻撃的な突進パートと凶暴なダウンテンポパートの切り替えや、喚き声タイプのスクリームと低音のデスヴォイスの組み合わせは明らかにデスコアからのもの。ダウンチューニングされたギターサウンドもブルータリティを一層強調している。
強烈なデスコアパートから雪崩れ込むクリーンvoパートは衝撃的で、そのメランコリックさはデスコア化したIn Fear And Faithとでも表現したくなるほど。デスコア的なブルータルのあるパートでも北欧メロデスを想起させるようなメロディを随所で聴かせてくれるのだが、そうしたメロディさえもクリーンvoパートの切なさの前ではただの前座でしかない。深い叙情性とキャッチーでポップな感覚が同居したメロディは印象的だ。
In Dying Armsは凄まじいアルバムを作り上げてしまったように感じる。
デスコア/メロディック・デスメタル/メタルコア/ポストハードコアの要素を融合するという難題をあっさりとクリアした上で、しっかりと"In Dying Armsサウンド"を作り上げて確立した。1stからすれば恐るべき進化と言っていい。特に3曲目の"The Core Of My Existence"はアルバムを代表する名曲。いや、デスコア/メタルコア史上に名を残す楽曲だと感じる。"メランコリック・デスコア"という独自のスタイルを切り開いた。

本年屈指の良盤。"The Core Of My Existence"のためだけに買っても何のソンも無い傑作盤。
デスコア/メタルコア/メロデス/スクリーモ好きはもちろん、ポストハードコアファンにもオススメ。特に叙情メタルコア/ハードコアやメランコリックなメロディック・デスメタル好きならマストな逸品だろう。

 

Boundaries - In Dying Arms

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