Blitzkreuz/Callejon

ドイツのメタルコアバンド"Callejon"の2012年リリース4thアルバム。
Nuclear Blastと契約していたバンドだったが、どうやらドロップされたか移籍したっぽい。
ちなみに、1st&2ndを聴いてあまり楽しめなかったため2010年リリースの3rdは未購入。そもそもリリースされていたことすら知らなかったが、YouTubeで新曲を耳にして本作を久々に購入する事となった。

ドイツのメタルコア系と言えばHeaven Shall Burnを筆頭に、Neaera、Caliban、Maroonなど総じて激烈なリフワークを特徴とするアタッカー型メタルコアだが、このバンドの場合はそうした男臭いメタルコアをやりつつもどちらかというとアメリカナイズされたメタルコアの中にメロディアスな要素とテクニカルな要素を封じ込めた作風だった…と言えば聞こえは良いが、実際には曲ごとに方向性が散っているため何をしたいのか不明な上、各要素が効果的に融合されず浮きまくって機能していないという中途半端な音楽性だった。

そして久々に体験する事となった本作4th。
あれ、こんなバンドだったっけ? と思わず過去作を聴き直してしまうほど充実した内容。
いろいろやりたかったんだろうな、と感じられた過去作と違って音楽的要素を整理したためかスッキリと分かりやすくストレートな音像となった。以前のガッツ系メタルコアの面影はほとんど残っておらずメタルコアの中にポストハードコア的要素を持ち込んだ作風で、1stからのファンからすれば「軟弱になった」と思われるだろうが、要素を絞り込んでメロディアスな方向へ最大限に振ったことで叙情性がクローズアップされた。
積み上げてきた個性を捨ててまで楽曲の質を追求してきたように感じる意欲作。
捨てたものと言えば、過去にはスクリームオンリーで貫いてきたスタイルを、ここでノーマルvo投入という大胆な変化。メロディを際立たせる意味で重要なポイントだと思うが、ほとんどノーマルvoで進行してしまうポストハードコア楽曲も披露しているという徹底ぶり。もはや過去のバンドの面影はありませんね。
2ndに収録されていた楽曲の続編扱い"Porn From Spain 2"にはMille (Kreator)がゲスト参加。

 

Kojote U.G.L.Y.
以前までのスタイルをよりメロディアスに仕上げたことで別物のように変化した好例の楽曲。アグレッシブでスラッシーなメタルコアで、メロウになりすぎない程度にクリーンvoパートも導入している。

 

Meine Liebe
7曲目"Bevor Du Gehst"と並ぶバンド史上の問題作。
全編ノーマルvoでスクリームはバッキングのみ。楽曲も少しヘヴィなポストハードコア的なもの。だが、このメランコリックに疾走するメロディが一番度肝を抜かれるポイント。この曲を聴いて、ここまでの音楽的変化もアリ…どころか大成功だと確信した。もう過去の中途半端さはなく、どこまでもメロディアスだ。

 

Atlantis
叙情的なメロディを載せて疾走する俺的琴線楽曲。シンプルだし適度なアグレッシブさも気持ちいい。ピロったギターとかアクセント的なバックのノーマルvoも良いね。後半のモッシュパートは微妙だけど。

過去作を知るファンでその音楽性を愛するなら、もはや別バンドと思った方が良い。それくらい過去との共通点は薄い。ここで聴けるのは高品質で王道的なメタルコア/ポストハードコア楽曲ばかりだ。
叙情メロディをふんだんに取り入れたメタルコアを探している人には猛烈にオススメできる好盤。
リフワークとかはアメリカナイズされてますが、メロディは間違いなくヨーロピアンなので。
ただ、このアルバムを気に入ったからといって過去作には手を出さないように(笑

 


現在ヘビロテ中!

Twitteやってます!