ロシア出身プログレッシブ・メタルコアバンドの2012年リリース1stアルバム。
Facebookを見てみると、どういうことなのか分からないのだがギターが4人にベースという5人構成。ギタリストの一人がヴォーカルも兼任しているらしい。ドラムはどうした? 意味が不明だ。一応略歴には3人目のギタリストとしてPauline Mikhaylin(Polina Michaylina?)が加入したとあるので事実らしいが…。
本人達はプログレッシブ・メタルコアを自称している上影響を受けたアーティストとしてAfter The BurialやBorn Of Osirisを挙げているが、サウンド的にはその路線で間違ってはいないものの正しくはプログレッシブというよりテクニカルコアと言った方がいいかもしれない。しかし、After The
Burialの2ndほど変態的なフレーズは入れ込んでおらず、正統的にテクニカルで流麗なプレイを披露しているのが特徴と言える。
最大のアピールポイントでもある4人のギタリストという部分では3人までの同時プレイは確認できる。バッキングと同時にツインリードがハモるプレイが随所で見られる上、リフワークでもツインでバッキングを行うなど多重録音かと錯覚しそうなプレイが満載。さすが3人も4人もギタリストが存在するので高速のアルペジオやスウィープなどテクニカルプレイが次々と炸裂するのはシュラプネル系好きにはたまらない要素だろう。
メロディ的には全編が叙情的というわけではなく、時にはポジティブで爽快なメロディも用いたりするのが特徴と言えるだろう。個人的に好きな叙情性のあるクラシカルなプレイも満載だが、そうした爽やかなフレーズも入れ込んだりするあたりはAfter The Burialを聴きこんだのだろうな、という感じがする。
楽曲展開的には強烈なブレイクダウンが存在するわけでもなく、メタルコア的なビート感も多くはないので、メタルコアと自称はしているものの広義の意味でと捉えたいところ。実際、メタルコア感はスクリームvo以外は希薄と言っていい。プログレッシブ系のメロデスや単純にプログレッシブメタルと称してもそれほど違和感のない音楽性。スクリームvoに寛容ならばテクニカルメタルとして十分に受け入れられるだろう。
最近の、特に東欧のバンドには珍しくシンセは使用しておらず…って、ギターが3人も4人もいれば必要ないだろうけど(笑。また、クリーンvoも使っていないスクリームvoオンリーというのも珍しいね。
After The Burialが好きならばど真ん中にあるのがこのバンドのサウンド。また、最近のプログレ系メタルコアってDjent系ばかりじゃね?とか思うファンに聴いてもらいたい正統派テクニカルコアだ。
これでまだ1stだし、メンバーの見た目も相当に若そうなので、これから大いに飛躍が期待出来そう。