Arise And Conquer/War Of Ages

アメリカ産メタルコア…というか、デスコア・バンドの2008年発売3rd。
本作のプロデュースはAs I Lay Diyingのボーカルの人。

世間ではBlessed By A Broken Heartと並び称される新世代クリスチャン・メタル・バンドとして知られており、こちらはより正統派ヘヴィメタルの様式に則っている。

 

デビュー当初からデスコアとして売り出されていたにも関わらずそれほど暴虐的でも何でもなく、実のところ他のデスコア・バンドとは比較出来ないほどメロディアスなバンドだった。確かに初期はメタルコア様式のギターサウンドの中でメロディアスさを表現していたが、時折見せる欧州的なクサメロに不思議な(いい意味での)違和感を覚えていたのも事実だった。
そうしたバックグラウンドを持っていたので、まぁ分からなくもないんだが、今作に至って(もちろんいい意味で)どこをどう足を踏み外したのか知らないが、メロディック・パワーメタル・バンドに劇的変貌を遂げた。
メタルコア的なリズムパターンとリフに欧州メロパワ的なヒロイック・メロディを被せちゃったみたいな、ちょっとありえないハイブリット化。

1曲目のAll Consuming Fire

デスコアの中にパワメタ的なノリを盛り込んだ前作までの方向性を基本としつつ、よりメロディアスなギターフレーズを搭載。いい曲なのは間違いの無いところだが、本作の楽曲としては驚くに値しない。前作までの"おさらい"といったところ。
メタルコア的なブレイクダウンで"ノリ"が削がれちゃうのがなぁ。

で、3曲目のThrough The Flames

最初に聴いた時はマジで吹いた(笑。
Amon Amarthか!ってくらいのイントロで、何が起こったのか理解不能に陥った。確かに全体を通して聴けばメタルコアなんだが、バンドとしての精神性は明ら かにメロデスやパワメタの方へ踏み込んでいる。かえって、メタルコア的なアイデンティティを残してそれを表現したのが凄いと思う。
中盤過ぎにGソロを導入しちゃうあたりもメロパワ的だよ。

4曲目のSalvation

これを聴いて、3曲目が単なる気の迷いじゃなかったのが判明(笑。
イントロからもうパワーメタル的ヤル気が漲ってる快作(怪作?)。面白いくらいにギター弾きまくりで、プチ・インペリテリみたいになってる(爆。

 

本作ラストの10曲目The Deception Of Strongholds

本作の最強楽曲は間違い無くコレだろう。
最初のストリングス部分は蛇足というか無駄ではあるが、続くメタルコアとはとても思えんエモーショナルなギターのイントロが異色であり美しい。
もはや、メタルコア・バンドとしては狂ったとしか思えない(笑。
音楽的な方向性がモロにメロディック・デスメタルなんだよね。なぜこれをラストに?と思わなくもないが、あまりにも異色すぎたからなのか?
俺的にはこの方向性を突き進めてもらいたいね。

アメリカンなメタルコア・スタイルのギターフレーズも、欧州的なメロディック・パワーメタル的なメロディも、スウェディッシュなメロデス的な精神性も併せ持った、爆笑系突然変異的な強力作。
ジャンルとしては…、クリスチャン・ヒロイック・デスコアなのか?
そういう意味で、何に似てるかとは一概に言えないところも。

いやぁ、久々にいい意味で笑わせてもらったよ。

 

2009.02.19初出

ARISE & CONQUER - War of Ages

現在ヘビロテ中!

Twitteやってます!