Against The Elements/Beyond The Embrace

マサチューセッツ州出身のメロディック・デスメタル・バンドと言われていたが、明らかにメタルコアなバンドの2002年発売1st。
ただし、アメリカンなメタルコアではなく、本人達がSoilworkやIn Flames、Iron Maiden等に影響を受けていると言うように、一部でヨーロピアンな叙情性や哀愁味も醸し出していたりする。

まず先に言っておくと、メロデスじゃないんだよね。
特にヴォーカルは下手な上にデス声でもシャウトでもないという、いったい何を目指してるのか不明だ。ノーマルvoにも全く味は無く、これで専任のヴォーカリストなんだから、最早救いようは無い。
それと、ドラムもデンジャラスなヒドさだ。パワーは無い、テクも遊びも無い、かつ的確でも無いという…打ち込み系にしたら?

この時点で、買う価値はおろかCDとして発売してる事自体疑問な感じが漂っているが、これが楽曲はハイクオリティだから困る。
デビューはTriviumの方が後だが、路線としてはTrivium系のスラッシュ/メタルコアで、特に2nd"Ascendancy"が近いと言える。
で、このバンドの最大の売りは、トリプル・ギターなところだ。まぁ、もっとトリプルであることを活かした方が良かったが(笑。
ただ、さすがトリプルG。とてもツインじゃ無理っぽいフレーズも満載だったり、ギタープレイに関してはかなりアツかったりする。
とにかく、楽曲の充実振りには目を見張るものがある。

 

1曲目のBastard Screams
すごくいい曲なんだが、他の曲が良すぎて霞む1曲目(笑。
リズム系のヒドさで萎える部分があるにせよ(爆。
アルバムの方向性を語るには最適な曲なのは間違いない。
欧州型のTrivium、特にイントロとサビがアツイ。

 

2曲目Mourning In Magentaでいきなりブッ飛んだ。
北欧系の叙情感を発散した楽曲なんだが、先に例えたTrivium型では全くなく、今思うとPoisonBlackをもっとメタル化した感じなんだよ。
アルバム中でもかなり異質な曲と言っていい。
ここには、スラッシュな感じもメタルコアな感じも無い。
中盤からの疾走とピロピロ系Gソロもいい味を出している。
こっち方面で進化してくれないかなぁ、と思わせる楽曲だ。

 

タイトル曲の6曲目Against The Elements
典型的なIn Flamesタイプのメタルコア曲だが、イントロからクサいフレーズ満載な上に、アグレッシヴな疾走感も気持ちいい。
ブリッジからノーマルvoのサビにかけての展開もいいんだが、この曲の最大の聴き所は中盤以降に怒濤の展開を見せるGソロだろう。
リフと2人のソロが折り重なるように炸裂するんだよね。

 

9曲目のEmbers Astray
イントロから中期In Flames節そのまんまの楽曲だ(笑。
全体的にも完全にIn Flamesを意識した…というかStrong And Smartそのまんまなわけだが(爆)、まぁ比較的に良く出来た楽曲だ。
リズム隊が不安定な分、この位の疾走曲の方が安定している。
分厚いGソロもかなり気持ちいいです。

基本は、Triviumの一歩先行くTrivium系という面白いバンドだ。
だがそれだけにとどまらず、トリプルGを活かしたピロピロ系ギターを満載してみたり、クサい叙情フレーズを取り込んでみたり、スラッシーなリフがメインながらも、先の楽しみなバンド…だった(笑。
2ndでただのメタルコアになっちゃったのは痛かった。

このバンド、買うなら文句無く1stだ。

 

Against the Elements - Beyond The Embrace

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