A Heart Once Lost/Artificial Heart

フィンランド出身のメタルコアバンド、2013年リリース1stアルバム。
所属レーベルはメタル系名門のSpinefarm Records/Universal Music。2011年にEPをリリース。ちなみに、ポップパンクバンドで"The Artificial Heart"というのもいるが全く関連性はありません。
バンド結成は2008年のことで、メンバーはツインギター編成の5人組。スクリームは専任ヴォーカリスト、クリーンヴォーカルは当初はサイドギタリストが兼任していたがメンバーチェンジによって元々のベーシストがサイドギタリストに転向し、新たにベーシストが加入した上でクリーンvoも兼任することとなった。

Spinefarmはメタル系…特に日本ではメロデス系の良質バンドを多く排出することで知られるレーベルだが、最近ではOne Morning Leftなんていうチャラいエレクトロコアバンドも在籍しているくらいで、さすがにそのあたりは時流を無視してレーベルを維持して行くのは難しくなったのかなと思わなくもない。
で、このArtificial Heartなのだが、前述のエレクトロコアバンド"One Morning Left"とは違って、かなりド真ん中なスタイルのメロディック・メタルコアを展開している。ただ、そこはアメリカのバンドではなく北欧のバンドということで、方法論はあくまでもオーソドックスなメタルコアであるものの大味ヘヴィスタイルではなく、北欧メロディックメタルやモダンメロデスにでも通ずるような繊細なメロディアスさが特徴。
リフワークやリズム系、ブレイクダウンの使い方などはBring Me The Horizonなどを彷彿とさせるようなメタルコアスタイル。ただ、一部でメタルコアスタイルから外れてメロデスっぽい…myGRAIN的なリフ&リズムワークを見せたりもするのはやはり北欧のバンドだからなのだろう。スクリームヴォーカルもメタルコアのそれよりはメロディック・デスメタルのような吐き捨て型を主体に咆哮を組み合わせるものに近い。
メロディ系は流行りのシンコペーションを取り入れた上で、全編を叙情メロでコーティング。歌メロパートはエモさを取り入れるのではなくリリカルでキャッチーなメロディを導入。スクリームパートから歌メロパートで華麗に落とすタイプではなく、全体的な構成美を魅せるタイプのサウンドでヨーロッパ的だ。
時折挿入されるギターの不協和音がイイ味を出してます。

myGRAINとBring Me The HorizonやAsking Alexandriaを合わせて2で割ったようなサウンドで、モダンメロデスとメロディック・メタルコア双方の良いところを受け継いでいる。イタリアン・メタルコア勢にも近いスタイルで、シンセを抜いたThe Avalanche DiariesとかHeliaにも近い雰囲気を持っている。
上記に挙げたバンドの他に、Heartist、Adept、Ravenface辺りが好きなら要チェックなバンドだ。

 


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