英国のサイバー/トランス系メロディック・デスメタルバンドの2012年リリース2nd。
本作でついに日本デビュー。日本盤はボーナストラックを含む全13曲。
1stのレビューでも紹介したが、メンバーは7人の大所帯。ツインギターの一般的なメタル編成に、DJ/サンプラーを含む。メンバーチェンジの多いバンドなので、オリジナルメンバーは今もって不明な状態。
音楽性は基本部分を1stから受け継ぐものの、本作では明らかにノリが良く疾走度も高くなっている。まぁ、それでも"メロデス"という中ではミドルハイ的な疾走度ではあるのだが、完全ミドルテンポと言ってもよかった1stに比べれば格段の差。そういった部分では1stよりも多くのリスナーに受け入れられそうではある。
また、1stとの比較で言えば叙情感というか英国風のウェット感が若干減退しており、それが1stでは重厚な雰囲気を醸しだしていたのだが、本作ではより軽快なサウンドへ振ったように感じる。ただ、ウェットな感覚が全く無くなったわけではなく、適度な叙情感を残しつつ軽快なノリをアップさせたことで、トランス的な部分とのバランスが非常に良くなったように思う。そういう意味でも、1stより聴きやすくなったかな。
で、前作で感じたBlood Stain Child的な部分は、何故か疾走感がアップしてノリも若干良くなったのに、そっち方面とは離れてしまったのは面白い。このバンドのウェット感とサイバー/トランス感とメロデスらしさが絶妙な形でブレンドされたことで、Silent Descent節とでも言うべきサウンドが完成した感じだ。
あと感じる部分と言えば、インダストリアル的な部分が若干薄まって展開の起伏やメリハリが強くなったような気がする。前作で感じた曲の平坦さも(まだそれなりに感じるが)若干解消されていると思う。
リフワークやメロディのバリエーションが少ないのは前作から引き継ぐ残念ポイントだけどね。
ちなみに、ミックスはDead By Aprilのポンタスさんが担当したらしいですよ。
"Psychotic Euphoric"
本作のサウンドがここに集約されているような気がする。メランコリックさとかトランス感とかノリの良さとかがバランス良くて好きです。欲を言うなら、ギターソロが無駄なような気がしてならない。
"Bring-In-Sanity"
静かに始まって、本編でいきなり疾走というパターンはオイシすぎる!
…ただ、それ以降の展開はいかにもインダストリアル・デスっぽくて単調かな、と感じる。
"Sober Thoughts"
こういうメランコリック感が強い楽曲は好きだし、アルバムで一番いい曲だと思う。Silent Descentらしさと言えばコレだろうな。それなりにメリハリも効いているのでメロディが印象に残りやすい。
インダストリアル系のメタル/メロデス好きなら存分に楽しめる快作。
ただ、前作のような濃厚さはなくあっさりとした作風なのでインパクトという面では薄いかな。
サイバー/トランス系とは言ってもハッピーなダンスノリは期待できないしテンポもミドルハイが中心、叙情性もそれなりにあるので、ちょっと変わったゴシック・デス的な感じで聴くと良いかもしれない。
個人的には好きなタイプではあるけど、聴き手を選ぶサウンドなんだろうな、これは。