フランス産メロディック・デスメタルバンドの2012年リリース(たぶん)1stフルアルバム。
アマチュアだと思うけど、バンドの詳細はほとんど不明。公式サイトみたいなところは無く、ただYouTubeにムービーやBandcampにアルバムがアップされているのみ。活動歴や活動状態も不明で、バンドのメンバーはどうやら二人。一人がGuitars, Synths, Bass and Vocals,もう一人がDrumsという編成らしい。
最初に言っておくが、これはとんでもない名盤だ。
音楽性はメロディック・デスメタルで、若干モダンな部分は見受けられるが世間一般で認知されているモダン・メロデスという作風から見れば遥かにオーソドックスなメロディック・デスメタルだ。
モダンさの質で言えば6th以降のDark Tranquillityにクサメロを大量にぶちこんで、更に大袈裟なメロディで仕上げたといった感じ。Dark Tranquillityが新作を重ねるたびに耽美さを深めているのとは違って、このバンドは実は個人的にDark Tranquillityに望むようなことを再現してしまっている。フランスのバンドではあるけれど、今では北欧系もここまではやらずに東欧系のバンドでしかやらないようなメロデスがここにある。
たぶん、こうした音楽性はアマチュアだからこそ為せる業なのだろう。
重ねて言うが、これは凄いアルバムだ。Dark Tranquillityファンでこれを聴いて何も感じないならもうファンであることをやめた方が良いと思う。フォロワーとか似ているとかパクリとか、もうそういったレベルを超越して、これだけのクオリティで再現してしまったら批判的なコメントなど全く無意味とさえ言える。
リズム系やリフワークは明らかにDark Tranquillityだが、keyの部分に関してはモダンさがあるのと同時にシンフォニックさもある。最近のDark Tranquillityは耽美さを追求する代わりに薄れてしまったアグレッシブさや疾走感がこのバンドには常にあり、そうした曲調の中にシンセのモダンな音色やシンフォニックさも投入するというのは最近の本家にも無い要素。シンセが自己主張しすぎていないのもポイントが高いと思う。
Dark Tranquillityを心から愛する自分としては、このアルバムを聴いて涙が出そうになった。
#2"Cypher"
オーソドックスにダートラ節をぶちかますメロデス楽曲。本家が失いつつあるメロデスとしてのアグレッシブさを活かして若干の耽美さを注入。ギターメロディのクサさがイイね。モダンなkeyが微妙だけど。
#4"Glimpse Into Reality"
イントロからステキすぎる。そこからアグレッシブに疾走も鳥肌もの。モダンさが薄く、クサめ増量なのも好きなところ。keyもこうしてシンフォニックな方へ振っていると安定して聴いていられるな。
#7"October 14th"
全体的にはアグレッシブながらも単調なノリなんだけど、ギターメロディとオルガン系のシンセがバックでイイ味を出しているので好き。モダンな感じはあるけど、ダートラっぽさもかなり残っているね。
全てのメロデスファンに激しくオススメ出来る名盤。
Dark Tranquillityを愛する人なら絶対に聴いておくべきアルバムだ。
で、このアルバム、普通には売ってないですけど、bandcampで入手することが可能です。全10曲で価格は特に定められておらず、好きな価格でダウンロード出来ます。無料でダウンロードももちろん可能。
とりあえず、上のプレイヤーで視聴して気に入ったらDLして下さい。