イタリアのメロディック・デスメタルバンドが2011年にリリースした1stアルバム。
本作発表時点ではインディーズ状態だったが、めでたく2012年4月にROADRUNNERと契約。
イタリアのメロディック・デスメタルと言えばDisarmonia Mundiに代表されるモダンでハイテンション系のメロデスであったり、Dark Lunacyのような耽美性を持ったバンドが多いのだが、このバンドは今時珍しく古き良きメロデススタイルを貫いているバンドだ。言うなれば、2005年前後の北欧メロデスだな、これは。
北欧メロデス的とは言ってもシンセ大活躍のキラデス系ではなく、オールドクサメロデス系。全く時代の潮流に乗れてない。というか、完全に取り残されてる。だが、それがいい。最大のセールスポイント。
ドカスカと爆走・突進するタイプではなく、一部で疾走はしているが基本的にはミドルテンポでしっかりとメロディを聴かせるタイプのメロデスで、ブルータルな要素はデス声のみと言ってもいい。ごく一部でシンセは導入されているが、たぶん気付かない程度。男らしくツイン編成のギターで勝負している。激クサメロデスまではいかないけど、叙情性のある魅惑のメロディはあちらこちらに散りばめられている。
"Eyes Of Medusa"
イントロはアグレッシブだけど、進んでいくほどメロディアスになっていく楽曲。特に中盤のギターソロから先は全く疾走せず淡々と展開していく。それがちょっと退屈さを感じてしまうのが残念なところ。
"Predator"
アグレッシブなオールドスタイルのメロデス楽曲だが、アルバム全体で見ると珍しいアグレッシブ曲(これでもアグレッシブって…)。他が大人しめメロデス曲ばかりなので、これでも疾走しているように感じてしまう。
"One Last Breath"
イントロでも感じられるように、メランコリックさを引きずったまま展開していく切ないメロデス曲。こういうメロディに弱いんだよね。特にデス系の楽曲でこういうのをやられると悶絶してしまう。
アルバム中で滅多に使われないkeyが使われてるのもアクセントになっていていいです。
いやぁ、良く出てきたね、こんなバンド。今時流行らないよ。よくROADRUNNERも契約したな(笑。
ただ、個人的には大好きなサウンドです。懐古趣味というわけじゃないです。いい音楽はいつ聴いてもいいもんです。このバンドの音楽を聴いていると、それを身をもって感じます。ブレイクするとは微塵も思ってはいないですけど、それでもこういういい音楽を書けるバンドはいつだって応援しようと思いますね。