フィンランド出身、Sentenced直系ノーザン・メランコリック・メタル・バンドの2007年発売のデビュー・アルバム。メンバーは、元はブラックメタルをやっていたんだそうだ。
音楽性は前述した通りSentenced直系のメランコリック・メタル…The Cold White Lightなんかをもう少し軽めにした感じで、同郷のEntwineやFor My Painにも通じる哀愁感をぶちまけている。
ゴシック系なのだろうが、深刻さというかダークな雰囲気は薄く、メロディック・メタル的な雰囲気の方が遥かに多い。voの声質も一因だとは思けど、『悲しい』というよりは『切ない』という感じだ。
各楽器のうち、Keyに関してはこの手のバンドとしてはかなり抑えめな方で(というか、ほとんど気づかない程度)、Gがいい感じで活躍してるのも特徴だ。
さて、本作で最強と思えるのが3曲目のAway From The Sun
イントロのストリングスからの入りも悲し気でいいし、voが入っても切なさは全開。メランコリック・メタルの本領発揮と言える出来。
サビの女性voによるコーラスも哀愁が増幅されていい。
ただし、この曲の聴き所は中盤以降の展開だ。
ストリングスとkeyのみの静かなパートがいいんだけど、その後のサビに続く静かで伸びやかな…それでいて切ない…メロディは秀逸。
ハッキリ言ってメタル臭も希薄なので、聴きやすい楽曲だ。
7曲目Sleep Of The Justの切なさも好きだ。
若干ノリのいい方向に振っているので、ダークな感覚はほとんどない。Sentencedの後期に最も近い楽曲のような気がする。
聴き所としては、サビ前のタメの部分かな。
それと後半にエモーショナルなGと一緒に盛り上がる部分とかも。
ノリノリのHRナンバー、9曲目Warmongers' Ball
いきなりこの曲が出てきた時には驚いた。それほどノリノリ。
ここにはメランコリックな要素はほとんど無いです。
でも、こういう曲も書けちゃうんだね。
自分的にはこうした軽めゴシック系は好きだ。淡々と進行する楽曲はほとんど無く、サビというか盛り上がりもちゃんとあって、エンディングとかの処理もしっかりしてるのがいい。
ダークになりすぎない程度にダークだし、哀愁系のメロディは満載だし、軽く疾走する部分とかもあったりして聴きやすい。
これ、日本で発売してたら絶対に売れてたと思うんだよね。いつもながら、日本のレコード会社は見る目無いというか何というか…。
EntwineやFor My Pain、Sentenced好きは必聴だ。
2008.09.12初出