The Cold White Light/Sentenced

フィンランド出身、メロディック・デス→ゴシックへと転身、ノーザン・メランコリック・メタルとも称されるバンドの2002年7th。
当時も今も、この青盤ジャケが美しくシンプルで好きだ。

前期Taneli Jarva時代と後期Ville Laihiala時代とで音楽性が変化したのにも関わらず、前期では3rd"AMOK"というメロディック・デスメタル史上の名盤を作り上げ、後期はノー ザン・メランコリック・メタルという独自の音楽性を築き上げてシーンに多大なる影響を及ぼした。
前期のメロディック・デスメタル路線でも、2nd収録のAwaiting The Winter Frostや、3rd収録のNepenthといった名曲があるのだが、今やSentencedと言えば後期のゴシック・メタル路線のことを指すほどそのクオリティは高く、与えたインパクトは強かった。
だが、決してVille Laihialaの加入によって音楽性が変化したわけではないというのは言っておきたい。実際のところ3rd後のミニアルバム収録The Way I Wanna Goを聴く限りでは、Taneli Jarvaのままだったとしてもバンドはゴシック方面へ進むつもりだったのだろう。

さて、本作。
前作の赤盤とも呼ばれる6th"Crimson"でKilling Me Killing Youなんていうノーザン・メランコリック・メタルを象徴する超名曲を書き上げてしまったわけだが、本作ではキッチリとそれに対する回答を出しつつ、全体的に大幅スケールアップして帰ってきた。
まず感じたのは、後期Sentencedの特徴ともいえる寒々とした雰囲気を多分に残しながら、よりメタル的なパワー感…アグレッシヴさも強調されたな、ということ。それはきっと相反する要素でもあるのだが、それを破綻の無い形でまとめ上げたのはやはり凄い。ノーザン・メランコリック・メタルの進化っていう感じだ。

1曲目の小インスト曲Konevitsan Kirkonkellot。
アルバムを聴き終える時、この小インストが重要となる。

で、2曲目から名曲のCross My Heart And Hope To Die。
アルバムの入口にコレを持ってきちゃイカンだろう、というほど重く悲しい、それでいて激しい慟哭に溢れた名曲だ。
どこを切っても素晴らしい名曲なのだが、特に中盤以降、Gソロの悲しさときたら、もう涙流しながら聴くしかないという感じ。

 

3曲目のBrief Is The Lightが少し異質。
Sentencedにしては明るい、希望に満ちた曲だ。
普通に極上のメロディック・メタルをプレイしている。

 

6曲目Excuse Me While I Kill Myselfも素晴らしい。
疾走感があってアグレッシヴなメタルなんだけど、このメロディにヴィレの声が乗っちゃうわけだから悲しい曲になっちゃう。
まぁ、歌詞の方はもっと絶望的なんだけどな。
これもまた、中盤以降の展開がポイント。特にラストだ。

 

10曲目のThe Luxury Of A Graveも珍しいタイプの曲だ。
イントロの場違い感ありすぎのKeyで軽く引いてしまったが、楽曲の本質的な部分を考えてみると、次作への布石のような気がした。
オーセンティックなメタルに寄った楽曲で、適度な疾走感とアグレッシヴさを兼ね備えている。その分、ゴス要素はほとんど無い。

 

アルバムのラスト11曲目No One There。
最強の慟哭ソングであったKilling Me Killing Youと対を為す楽曲。
PVで涙すること確実。
最後の時まで貫き通される、ある老夫婦の愛の形だ。
一見、地味。そして、いかにもSentencedらしい。
これをエンディングに持ってきたら誰でも泣くだろうよ。
そして、CDの終わりまで必ず聴くように。
あっ、PVとCDだとエンディングの処理が違うので注意。

 

やはりVille Laihialaの声は唯一にして無二だ。パワフルでありながら繊細で、乾き掠れた声質にも関わらず深い悲しみを伴っている。このノーザン・メランコリッ ク・メタルという音楽性を完成させることが出来たのは、Ville Laihialaの声があったればこそだ。
ちなみに、Ville Laihialaの誕生日は6月13日。太宰治が玉川上水に入水自殺した日だ。運命的なものを感じるのは俺だけか?

Crimsonよりは圧倒的に聴きやすいアルバム。
個人的にはSentencedの最高傑作
全曲名曲ですので

 

2008.07.31初出

The Cold White Light - Sentenced

現在ヘビロテ中!

Twitteやってます!