カナダ&US混成ヘヴィメタルバンドの2012年発売3rdアルバム。
2004年の1st"All Is Fair In Love And War"発売当時はメタルコアバンドとしてデビュー。それなりに良いアルバムだったが、どこか突き抜けたところが無かった。その後、ヴォーカルを含めたメンバーチェンジを経て、2008年に2nd"Pedal To The Metal"を発表。あの1stはいったい何だったのかと言いたくなるほどの変化。もはやデビュー当時の面影無し。メタルコアなのか、これは? たぶん、LAメタル当時の音楽性を現代のメタルコアの土俵の上で再現したんだろうな…というようなヘヴィメタルだった。もう、ノリノリなパーティー系ヘヴィメタル。シンセはダンサブルに響くし。メタルコアっぽいのはグロウルを使ってるところだけ。
2ndアルバムは掛け値なしの良盤だったと思う。爽快な音楽だった。LAメタルとメタルコアが合体して化学反応を起こしたみたい。LAメタルをリアルに体験した世代で今もメタルを聴いてるようなオヤジ連中は、このアルバムを聴いてあの頃の様々なバンドが頭をよぎるに違いない。
で、今回の3rd。前作の延長線…というか、本当に普通のヘヴィメタルバンドになりました。進化というか退化。良い意味で。メタルコア?そんなもの、欠片も残ってませんよ。グロウルほぼ無し、ブレイクダウン無し。リフというよりメロディ重視。1stは完全に別バンドの作品のようだし、2ndは本作へ至る実験的作品だったような気がする。実際、2ndの路線を続けてもそれなりに成功は望めたと思うんだよね。でも、バンドが選択したのはオーセンティックなヘヴィメタル路線へ一直線に進むことだった、と。
1曲目のDeathwishでガッツポーズでしょ、確実に。
音楽的な路線は2ndとさほど変わってないですけど、より80'sアメリカンメタル的なノリで突っ走ってます。イントロからずっとリードGが活躍しまくりで笑える。このバンドを知らない初体験者は、きっとネタでやってるんだと思っちゃうほどあからさまにOLD METALしてます。
3曲目のLove Nightmareはアルバム中で最もメタルコアっぽいかも。
メタルコアのようでメタルコアじゃない。何だろう。最初はメタルコアなんだけど、最後はお気楽パーティーロックでシメる、この曲に限らず、「オーオーオー」というコーラスは実に笑える要素です。もちろん良い意味で。全力でやってるのにネタっぽく見える理由です。
8曲目のRockin' All Nightは…Danger Dangerですか?(笑
何、このネタかと思えるほどのパーティーロック系サウンドは?とても正気とは思えません。カバー曲と言われれば「なるほど」とうなずけるのに、なぜ30年もタイムスリップしてるのかと。たぶん、メンバーが生まれる前かそこらのサウンドですよ。それを再現しちゃうのか。
10曲目のSkate Or Dieも熱くなれる1曲。
2nd路線からグロウル少なめ、シンセ少なめ、ギター増量って感じです。
ちなみに、7曲目にはお約束のパワーバラードも収録。Journeyですか?(笑
本当にすごいアルバムを作り上げたと思います。確かにLAメタルをリアルに体験した世代の代表ではあるが、懐古趣味で言ってるわけじゃないです。今や、「モトリー?何、それ?」みたいな感じですから。どっぷりとメロデス/メタルコア系に浸かってる俺。それでも、この作品は異様にカッコイイと思う。
久々に、全メタルファン必聴のアルバムですね。