A View From The End Of The World/Machinae Supremacy

「みんな、もうすぐMachinae Supremacyが来るわよ」…で有名なMachinae Supremacyです。
スウェーデン出身、個人的にはパンキッシュ・メタルとも呼んでいますが、メロディック・メタルなのかパワーメタルなのか何なのか、バンドは自称"SID Metal"としています。さて、"SID Metal"とは?
Elektron SidStationというサウンドモジュールを使用した音楽…みたいです。これに搭載されているSID6581というチップがキモで、これはその昔…1980年代中期頃?…の名機Commodore64というパソコンに搭載されていたサウンドチップだったみたいで、独特の音が出せるらしい(うーん、よく分からんな)。
要は、コモドール64メタルと呼んでいいです (ウソです)

一応、Spinefarm Recordsに所属するメジャーなアーティストですが、いろいろな意味で未だにマイナー臭がしてしまうこのバンド。デビュー前、まだ公式サイト上で楽曲を無料配布していた時代には冒頭の日本語を登場させてしまったり、いかにも古臭いゲームミュージックっぽいものを作り出したり、バンドの特徴とも言えるチープなシンセサイザー音とか、妙に秋葉原を連想させてしまうオタクっぽさを感じるんですよね。
が、昔から今に至るまで100曲以上を公開・リリースしていますが、どれもクオリティは非常に高くカッコイイのだから驚くべきオタクだ。ちなみに、メジャーデビュー以前の曲は今も無料配布中ですよ。

さて、本作の音楽性は昔から変わらずメロディックでエレクトリックなヘヴィメタルです。
いろいろなメタルの要素がありながらパンクっぽいところもあり、インダストリアル的なところもありつつ、きっちりとメロディアスでどの曲も気持ちよく疾走している。音的にはあまりヘヴィなプロデュースはされていないが、ギターはリフもリードもメタリック感を前面に出してしるし弾きまくり度も高いと思う。
しっかりとお約束的にギターソロを導入してるのもメロディック・メタル的で良い。
最大の特徴とも言えるシンセサイザーは、とにかく音色がチープ。コモドール64と言ってもよく分からんと思うが、日本で言うならファミコン的と言ってもいい。"ニンテンドー・コア"というのが一時期流行ったが、シンセ的にはその路線。その意図したシンセのチープ感がメロディックでメタリックな楽曲に場違い的な形で乱入してくるという、そのギャップがこのバンドの音楽を楽しむ上で一番重要なポイント。
シンセが最大の特徴とは言っても、ベースとなるメロディックなメタルの部分も相当に気合が入ってるしそれだけでも十分に楽しめる楽曲クオリティを持っている。デコレーションとしてのシンセだと思っていい。

 

Force Feedback
アグレッシブな出だしだけど、その後はこのバンドらしい疾走曲となる。チープなシンセはここでも存分に堪能できる。中盤にメタルコアっぽい部分もあるね。後半のギターソロはかなり楽しめる。

 

Shinigami
読んで字のごとく"死神"です。昔は"忍者"とか"浪人"って曲もあったっけ。
禍々しいタイトルなのに、シンセは凄まじく場違いなチープさ。ファミコンです、これは。中盤にシンセソロもあるが、そこもファミコン(笑。どこが死神だよ! アグレッシブな疾走とのギャップが激しすぎる。

 

Action Girl
なんかどこかで聴いたようなイントロだな…。何のゲームだっけ?
シンセ以外はオーソドックスなメタル。キャッチーだし、特に奇を衒ってないので聴きやすい。

 

Crouching Camper Hidden Sniper
このバンドの曲とは思えないスラッシーさ。チープなシンセも最初っから無いのでそのままスラッシュメタルかと思ったら、中盤辺りから顔を覗かせてその先は乱舞状態。中盤から先は印象が激変する楽曲。
ただ、エンディング方面が異様にカッコイイんだよね、この曲。

前作から不変の音楽性ながら、今回も気持ちよくカッコイイ作品なのは確か。
難点を挙げるとすれば毎度のことながら粘着質系のヴォーカルだろう。ただ、これだけ長い間ヴォーカルをそのままにしておくということは、このヴォーカルもバンドの個性の一部として見るべきなのかも。
ヴォーカルの声質が気にならないなら、メロディック・メタルの良盤として激しくオススメだ。
とりあえず初期の楽曲を公式サイトでダウンロードして聴いてみてくださいね。

 

公式サイト - Machinae Supremacy "SID Metal"

 


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