台湾産シンフォニック・ブラックメタル・バンドが2005年に発売したアルバムを、米Megaforceからリリースするにあたり英語バージョンの国際盤として2006年に発売した通算4作目のアルバム。
漢字圏でのバンド名は"閃靈"、英語圏では"ソニック"という。
メンバー構成が独特で、6人組のバンドなのにツインのGではなく、代わりに二胡を弾けるメンバーが二人いる。更にBは女性。
この女性Bassのドリス嬢、PVや写真を見る限りでは白塗りメイクをしていてハッキリとは分からないんだが、けっこう可愛い♪
voはデスっぽい低音咆哮型とブラックメタル的な高音喚き声型を使い分け、時に癒し効果抜群の女性voが絡むというもの。
音楽性はシンフォ要素特大な北欧タイプのメロデスっぽいブラックメタルで、Dimmu Borgir路線である事は間違いない。
その中で強烈な個性を放っているのはやはり二胡の音色だろう。ヴァイオリンとは違った独特の音が楽曲の中で乱舞している。
でもkeyは完全にゴシック系なシンフォニックな音なんだよな。
1曲目のProgeny Of Rmdax Tasing
イントロはブラストでスタート。
で、楽曲全編で二胡が鳴り響いて東洋のバンドっていうのを強調。
全体的に、シンフォ・ブラックの教科書的楽曲だ。
もちろん、二胡以外は(笑。
いや、笑ってる場合どころではないほどカッコイイよ。
4曲目のBloody Gaya Fulfilled
イントロから女性コーラス、そこへデス声が乗っていく。
前半部分だけ聴くと『そんなにいい曲かぁ?』という感じだが、中盤あたりからラストへ向かってどんどんかっこよくなっていく。
特に3分の2を過ぎたあたりからテンポアップしてGソロに突入。その勢いのままリフとメロディを疾走させて二胡が炸裂(笑。
5曲目のThe Gods Weep。
イントロは弦楽のメロディとブラストビート。
そこからスラッシーなリフとシンフォニックなメロディがごっちゃになりながら進行していく。リフだけ聴くとデスラッシュだ。
で、この曲の聴き所は実はラスト約1分だ(6分の楽曲なんだけど)。
哀愁の泣きのメロディをラストに配置してるんだから。
6曲目のExultant Suicideもなかなか。
最初っから最後まで二胡の泣ける音色で、かなりメランコリック。
ほとんどの部分は疾走してないです。
ただ、Gソロの一部分だけ疾走するんですよね。
それがまたいいんだ。
ラスト9曲目のQuasi Putrefactionが最強か。
アルバム中では珍しストレートなシンフォ・ブラックメタル曲。
でも、緩急もつけながらのドラマチックな7分の楽曲。
ところどころに上質な叙情メロを配置してるのもポイント。
3分の1を超えた辺りから楽曲はシンフォ・メタルっぽくなる。
もちろん二胡も大活躍。当然のようにGソロもあり。
ホント、後に行けば行くほどメロディがカッコ良くなっていく。
このアルバムは霧社事件
をモチーフにしたコンセプト・アルバムだが、楽曲の1曲1曲が完全に独立しているので聴きやすい。
ほよんど非の打ち所がない名盤なのだが、コンセプト作として見るなら、エンディングのフェードアウトはどうかなぁ、という感じ。
台湾出身ということでネガな目で見ていたが、音楽的には間違いなく世界レベルだと思うし、実際世界中で注目されているようだ。
国内盤があるので、ぜひ聴いてみて下さいね。