Mutiny Within/Mutiny Within

アメリカ産メタルバンドが2010年にリリースしたデビューアルバム。

Roadrunner Recordsと契約していた期待の若手バンドであったが、2011年に惜しくも解散。

 

音楽性のベースとなっているのはメロディック・パワーメタルだし大枠はそこから外れないのだが、モダンなメロディック・デスメタルやメタルコア、プログレッシブ・メタル、もちろん王道的なヘヴィメタルから様々な要素を吸収してまとめあげた新世代のエクストリーム・メタルがこのバンドのサウンドと言える。

メロデスとしての要素は実はあまり強くなく、元々はChildren Of Bodomのカバーバンドからスタートしたというバンドの歴史的な部分と、ごく一部にデス声がフューチャーされているといった程度。カバーバンド時代のヴォーカルが脱退したためチェンジしているので、それに合わせた音楽的変化なのかもしれない。

CoBのカバーバンドと聞くとスピードメタル系かと思われるかもしれないが、パワーメタルやメロディック・メタルの要素が明らかに強い。終始一貫して突っ走っているわけではなく、走る部分と落とす部分(ブレイクダウンやモッシュパートのことではない)の起伏をキッチリと盛り込んだ展開が楽曲の特色。

方向性としては同じアメリカ出身のVanisherに限りなく近い。Vanisherもメタルコアバンドと思われているが、リズム系の作りもメタルコアではないし、モッシュパートやブレイクダウンがあるわけでもない。そういう意味ではこのバンドも同じで、ハードコア/メタルコアに由来する要素は全くないと言ってもいい。

ギターはレコーディング中に急遽ツイン編成になったわりにはリフも多彩だしリードのメロディやソロもテクニカルで流麗なフレーズが連発。メロディは叙情的、あるいはメランコリックといった"クサい系"。

シンセは基本的にシンフォニックで統一してそれがバンドサウンドを効果的に盛り上げており、通常は後方に引いたアレンジながら時折絶妙のタイミングで前面に現れるのはセンスの良さが現れていると思う。

 

Awake

バンドのアグレッシブな面がよく現れた楽曲で、ブラストを織り交ぜたイントロからスタートしてデス声もこのアルバム中ではかなり多めにフューチャーされている。基本ミドルハイのテンポでヘヴィな楽曲だが、ところどころ疾走しているので単調さは感じない。中盤過ぎには長めのギターソロも投入されている。

 

Oblivion

ドラマチックな展開をもった楽曲で、アルバム中で一番好きだな。

ギターが常にピロピロと気持ちよく弾きまくってるのが微笑ましいが、所々で前面に現れるシンフォニックなシンセの活躍度も聞き逃せないポイント。サビのメロディがメランコリックなのがいいんだよなぁ。

どうでもいいことだが、"Oblivion"というタイトルの曲には良曲が多いな。

 

Reflections

ヘヴィなパートとファストなパートが前半を占めて、中盤からはスローなパートも織り交ぜながらドラマチックに展開していくのがいいね。一番疾走するパートがサビだというのが一番好きなポイントかな。

 

アルバム全曲、良曲揃いというのが新人とは思えない。それも、どの曲もしっかりと個性を主張していて似ている曲が皆無というのも凄い。デビューアルバムのレベルが高すぎて、この後が続かなかった…なんていうのが解散の原因なんじゃないか? とか勘ぐってしまいそうなほどの完成度をもった傑作盤だと思う。

ヨーロピアン・パワーメタルファンにこそ聴いてもらいたい作品。

Vanisherの方が知名度は低いが、好きならマストだと思う。

 

Mutiny Within - Mutiny Within

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