公式には『メロディック・ヴァイキング・スピード・メタル』と呼ばれていたが、そんなジャンルでは括りきれないほど多彩な要素を併せ持ったドイツ出身のバンド。2005年発売のデビューアルバム。
割数さんのブログで、この1stがBURRN!では70点台だと知って愕然とした。まぁ、いいんだけどさ。あちらもこちらも個人主観だし。
でも、その得点の低さでスルーした人がいたと思うと悲しいね。
まず、この『メロディック・ヴァイキング・スピード・メタル』と聞いて『Falconerみたいなもんか?』と思ったのは決して俺だけではあるまい。なので当時は一瞬スルーしようかと思ったほどだったが、買っておいて良かったよ。人生最大級の失敗を犯すとこだった。
音楽性自体はFinntrollとそれほど変わらないと思うんだが、Finntrollに思い入れのほとんど無い俺が(Varg Timmenは良かったと思うけどね)、このEquilibriumには激しく燃えてしまうんだよ。
その理由は、楽曲の『気持ち良さ』なんだよね。
コルピみたいに能天気なグダグダ酔っぱらいメタル路線ではなくて、そこはドイツのバンドらしく民謡風のメロディを爽快に疾走させるわけ。
デス声を使ってるからメロデスな風味も取り込んでいるが、Kalmahほどデスっぽくはないし、あくまでもベースはメロスピ/パワメタ系で、どこかしら Elvenkingっぽい色も見せてはいるが、それを遥かに超越したドラマチックでフォーキッシュなメタルを展開させている。
メンバー、ビックリするほど若いんだよな。20歳そこそこでこの音楽性を確立したのは、ある意味ドイツの奇跡と言えるんじゃないか。
もう、この傑作の前では燃えるなっていう方が無理。
2曲目のWingthors Hammerで、昇天・失禁。
シンフォニック・パワーメタルの上にデスvoを乗せて、ツーバスがドコドコ鳴って疾走。う~ん、やっぱジャーマン系だよね。
イントロはNightwishかと思って焦ったけど(笑。
民謡風のメロディは、沈鬱な感じではなく爽快な方向だ。
5曲目のWidars Hallenがアルバム中最強か。
このアルバムの難点は、似た曲が多いことだろう。こうした問題は多くのスピードメタル・バンドも抱えているので、このバンドの問題点というよりは、このジャンルの問題なのかもしれない。
2ndでは、そのほとんどが改善されているんだけどね。
まず、これは全メタルファン必聴のアルバムだ。
このジャンルでトップクラスの完成度なのは間違いない。
2008.10.01初出