ドイツ出身のフォーク/ヴァイキング/デス/パワーメタルのごった煮的ノリのベテラン・バンドが2006年に発売した通算8作目。
8枚もアルバムを発売していながらメジャーになりきれない、ちょっと悲しいバンドだが、過小評価されすぎじゃないかと思うね。
ドイツのフォーク/ヴァイキング系といえば最近にEquilibriumを紹介したばかりなのだが、あちらがメロスピ的なノリが売りなら、こちらは正統派パワーメタル的なノリが売りということになる。
基本は正統派パワメタな音楽性ながら、どこかしらスウェディッシュなメロデス風味も感じたりするところも個人的には好みだ。
さすがベテランバンドだけあってフォーキーな風味の使い方が嫌味無く、自然に楽曲の中に溶け込ませているのは凄いと思うな。
疾走感はそれほどではなく、ドラマチックな楽曲展開を信条としており、民謡風味入りのBlind Guardianっていう感じもする。
まぁ、昔はEquilibrium的な若さも感じたが、今は大人だ(笑。
1曲目から8分の大作という、一般人侵入お断り状態だ(笑。
ドラマチックな楽曲ではあるんだが、それほど燃えないなぁ。
で、個人的本編スタートの2曲目A Blackened Shield
楽曲的には、新世代メロデスにフォーク風味を隠し味とした感じだ。
フォーク/ヴァイキングな色は、この曲にはあまり無い。しいて言うなら、そうした色は全てエンディングに追いやった。
イントロからの流れとシャウトが特に大好きな楽曲だ。
4曲目のEvoke The Demon
この曲を聴くとフォーク/ヴァイキング・バンドなんだと分かる。
まぁ、こうした楽曲がこのバンドの本線ではあるんだが。
ただ、ヴァイキングな感じは漢くさい勇壮さというより、爽快な感じがするんだよね。フォーキーな色もクサイというよりは、こうしたバンドのなかでは比較的アッサリめではないかと思う。
10曲目のThe IXth Legionが最強楽曲だね。
アルバム中ではかなりメロデス寄りの楽曲だ。
ヴァイキング・メロディック・デスメタルという感じかな。
アグレッシブで勇壮な感じもアルバム中随一だと思うし、緩急や静動の対比で作るドラマチックさも素晴らしい。
時折鳴り響くバグパイプの音色もいいね。
全体的にはBlind Guardian的なドラマチック系パワーメタルの色を受け継ぎながらフォーク/ヴァイキング方面に振った作風だ。
なので、フォーキーな感じで避けてしまう人もかなり聴きやすく仕上がってると思う。実際、ベタベタな民謡炸裂ってわけでもないし。
演奏もベテランらしく安定感があるのはいいね。Equilibrium、たまにバタついちゃって微笑ましく感じる部分があったし(笑。
Equilibriumに惚れた人は是非聴いて欲しいアルバムだ。
2008.10.22初出