Angels Cry/Angra

今回紹介するAngraのデビュー作Angels Cry

人生を変えた名盤の一つです

メタルにクラシカルなフレーズを導入するという手法は何も彼らが初めてだったというワケではありませんが、スピード感溢れる楽曲にクラシックのフレーズを大胆に融合させ、それをここまでの完成度で提示できたということが衝撃的でした。

結構語り尽くされた感のある名盤なので、ここでは導入されているクラシックに焦点をあててレビューを。

アルバムはフランツ・シューベルトの交響曲第8番ロ短調D759『未完成』をモチーフとしたUnfinished Allegroから始まる。
そしてこのインストから、メタルファンは避けては通れないとまで言われる超名曲のCarry Onへ。
スピード感とメロディは、まさにメロディック・スピードメタルの教科書とも言うべき楽曲で、キーボードが特にいい仕事をしてます。まさに、10年に1曲の名曲と言っていいでしょう。
(伸びやかなサビメロがいいっすね~)

更に4曲目のAngels Cry、ここにはニコロ・パガニーニの『カプリース第24番』が導入されていますね。
ミドルテンポ~テンポアップ~スローパート~テンポアップと目まぐるしく転調していくドラマチックな楽曲。
クラシックな部分は後半のギターソロに導入されています。

9曲目のEvil Warningには、アントニオ・ヴィヴァルディの協奏曲集『四季』の『冬』第一楽章が使われています。
この曲もメロディック・スピードメタルを代表する楽曲で、疾走感ある曲調と伸びやかなVoが特徴です。

10曲目のLasting Childは、アンドレ・マトス(Vo)が元在籍していたバンドViperのアルバムに収録されているMoonlight(この曲自体がクラシックの名曲 『月光』をモチーフに作られている)のパート2とも言える大作で、アルバムのハイライトにもなっている。
美しいピアノの旋律から始まる荘厳な雰囲気の楽曲で、終始スロー~ミドルのテンポで、Voは伸びやかながらもパワフルに歌います。自分的にはこの曲がアルバム中No1ですね。
モチーフとされているのは、フェリックス・メンデルスゾーンの協奏曲『厳格な変奏曲』ニ短調作品54と、フランツ・シューベルトの即興曲『作品90』と『作品142』の一部ですね。

これ以外では、5曲目のStand Awayはリヒャルト・ワーグナーの作品がモチーフになってると友人から聞いた記憶があります。

全10曲、捨て曲が一切なかったのも凄かった。
どれもが名曲の資格を有していました。

そのせいで、無数のAngraフォロワーが生まれたのも印象的ではありましたけど。

 

2008.02.16初出

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