Forever Chaos/Shadow

大阪出身のメロデス・バンド、約7年振りとなる2008年発売2nd。
Spikefirm所属というのもビックリだが、そのSpikefirm所属で7年もアルバムを発売せずによくクビを切られなかったと、そちらの方がよほどビックリだ。
ゲストに、At The Gates→The HauntedのAnders Björlerがギター・ソロで参加してたりと、そちらもレーベルに劣らずビックリ。

自分がこのバンドを知ったのは今年に入ってから。1stを買った時には2ndが発売されることも知らなかったので、個人的には7年振りとは感じないんだよね。
俺が知らなかったというだけで、おそらくはかなり有名なバンドなのだろう。まぁ、SerpentもBlood Stain Childも知ったのは最近なくらいだから、国内の音楽事情の疎さときたら…(笑。

1stのクサメロデスっぷりもいい意味で笑えたが、本作のクサメロデスっぷりもあまりに美味しすぎて、涙を流しながら笑ってしまいそうだ。
音楽性は1stとそれほど変わっていないデスラッシュ方面なのだが、本作はよりモダンになったかな、という印象。The HauntedのGがゲストと聞いて、なるほど…と思える。The HauntedよりAt The Gatesの方に近いかそれ以上にクサいメロディは満載となっている。
ただ、デスラッシュ方面とは言ってもゴリゴリ系ではなく、メロディック・デスメタルとデスラッシュの中間を行くという感じ。
要は、文化遺産的に古臭いメロデスをやっているということだ。

それと、voは女性だったのね。1stの頃から。初めて知った。
これまたビックリするぐらい良質のデス声で、まぁ普通に聴いたら誰も女性だとは思わんわな。鋭くドスの効いたスクリームは俺的にはアンジェラ嬢以上。こりゃまた凄いvoを見つけたもんだ。
Gの仕事量の多さもハンパじゃない。少しテクニカル・デスラッシュ的なところが鼻につく部分はあるものの、最近でここまでGを前面に押し出しつつ気持ちのいいGソロを披露してるのは珍しい。

コレ！といった曲を抜き出すのも難しいほど名曲揃いだ。
まず1曲目のForever Chaosで爆笑。

え～と、いきなりイントロでインギーがトチ狂ってデスラッシュに手を出したのかと思うほどのネオクラ系Gメロディ・バリバリ弾きまくりで吹いた(笑。
その後もGのいい意味での暴れっぷりは目を覆いたくなるばかりで、デスラッシュ的な部分とスピードメタル的な部分が渾然一体となっている。
特に、中盤のGソロ以降はデスラッシュという事を見失ってる(笑。
貶しているわけではないぞ。それほど素晴らしいということだ。

3曲目のBefore True Light

イントロのネオクラ系Gメロにはさすがに慣れた(笑。
だが…あれだ。Arch EnemyのSilverwing的な感じ。そこまで行き過ぎてはいないが、ポップで爽やかメロディが盛り込まれてるんだよ。
Silverwingはホント『突如』という感じで転調していたが、こちらは全体的にポップに纏め、かなり自然な感じで溶け込ませている。
まぁ、それでも場違い感はアリアリだが、俺的には大好きだ。
もちろんGソロは大盛り。

7曲目のWings Of Flame

Nightrageタイプの正統派デスラッシュ曲と言える楽曲。
アルバムの中では、実はこうした直球は珍しい。なので、正統派デスラッシュ曲なのに、このアルバムを象徴している曲とは言えない。
ただ、Nightrage好きの俺としてはドンと来い！だ。
中盤にGソロはあるものの、他の曲に比べたら大人しい方。

本編ラスト10曲目のLand Of A Dream

個人的には1曲目でも良かったんじゃないかという荘厳なイントロから始まって、クサい系のGメロへと移行するオープニングを持つ楽曲。
クオリティは高いものの、ちょっと毛色が違うからなのか？
基本はデスラッシュだが、Gメロの美味しさは格別だ。
Gソロが2回あるっていうのもポイント高いかもしれない。特に最後のGソロと続く爆走パートの展開はアルバム中最強じゃないか？

デスラッシュとはいえ、ただのデスラッシュで終わらせていないところが凄いな。正にこれこそメロディック・デスラッシュだろう。
Nightrageと双璧のデスラッシャーと言ってもいいかも。
というわけで、フィンランド的というよりスウェーデン的。
In Flamesの曲から拝借したと思われるメロディもあり(笑。

これを買わないと絶対に後悔すること間違い無しだ。
デスラッシュ/メロデス・ファン、Nigntrage、At The Gates好きなら間違いなく主食になる。In Flamesファンにももちろんオススメ。

2008.11.29初出