2000年以降のエクストリーム系メタル個人的名曲30選 - 3

3回に分けてお届けした名曲30選も、いよいよベスト10の発表です。

たぶん、トップ10はそれほど意外じゃないと思いますし、有名どころも多数含まれているので、30〜11位までのようにマイナー系バンド多数というような状況じゃないです。

特に1位なんて、まぁ「いかにも」って感じの選曲ですし。

今回のベスト10は、30〜11位発表のようなカウントダウン式ではなく、1位から順に発表することとします。やっぱり、1位が一番上に表示されている方が気持ちいいので。

 

ちなみに、30〜11位は…

30〜21位:2000年以降のエクストリーム系メタル個人的名曲30選 - 1

20〜11位:2000年以降のエクストリーム系メタル個人的名曲30選 - 2

 

それではベスト10の発表です!

 

第1位 Snowdrifts/Dark Lunacy

イタリアのメロディック・デスメタルバンドが2006年に発表した3rd"The Diarist"に収録されている、メロデス史上最も美しく哀しい慟哭の名曲。エクストリームメタル界では、もはやこの曲を超える楽曲は一生現れないのではないかとさえ思える耽美メロデスの極致。ピアノのイントロから女性voの哀しげな歌声へと流れ、その後のデスvoの慟哭とも言える咆哮を経てサビへ…。

実際、もし1アーティスト1曲に限定しなかったら、1位はこの曲、2位はFragile Caressと独占してしまったことだろう。4thで大コケ…どころか無かった事にしたいアルバムを発表してしまった彼らだが、2nd&3rdは超名盤。全メタルファン必聴のアルバム間違い無し!


第2位 In Love With Insanity/Tracedawn

フィンランドのメロディック・デスメタルバンドが2008年に発売した1st"Tracedawn"収録の激しくも哀しい叙情系メロデスの名曲。1st時点でメロデス界に衝撃を巻き起こし…てはいないのはメジャー配給ではなかったからで、実際その1stは名盤と言える完成度だった。

イントロのピアノで俺的激萌えだが、その後はメロデスらしいアグレッシブな展開と極悪デスヴォイス。それだけで終わらないのがTracedawn。メランコリックなサビが秀逸すぎる。イントロの物悲しいピアノがリフレインする展開で悶絶。これで当時新人。恐ろしい…

 

第3位 Common State Of Inner Violence/Disarmonia Mundi

イタリア産、天才Ettore Rigotti率いる超ハイテンション系メロディック・デスメタルバンドの2004年発売2nd"Fragments Of D-Generation"に収録されているリーダートラック。ブルータルではなくアグレッシブに爆走。voはSoilworkのBjorn"Speed"Strid!

デスvoの安定感は抜群。そこはさすがにBjorn。楽曲はイントロからブチギレ気味に突っ走るハイテンション型。が、それだけで終わらせないのがEttore Rigottiの天才たる所以。テンポチェンジも頻繁、ブリッジでノリノリ、クリーンvoを絡めたサビメロも秀逸。作曲はやるわ、プロデュースはやるわ、ベース以外の全楽器は演奏するわ、クリーンvoは操るわ、あげくにアルバムのアートワークも手がけるわ。なにその、ほぼ一人メロデス状態は!?


第4位 With You/Machinemade God

ドイツ産メタルコアバンド。楽曲は2007年発売の2nd"Masked"に収録。

キラーチューンとは正にこの曲のようなものを言う!

ドイツのメタルコアと言えばCalibanとHeaven Shall Burnが双璧だが、このバンドも侮れない実力の持ち主。実際2ndに限ってみれば欧州随一の名盤と言える。何が凄いって、そのメランコリックさ加減。この楽曲もイントロからは軽めスラッシュ路線で展開していくのだが、サビのメロディがヤバすぎる。中盤越えた辺りからの展開は更に秀逸。この1曲のためにアルバムを買う価値はある。…が、実は同アルバム収録のMelancholyって曲も名曲!

 

第5位 You & I/Bury Tomorrow

UKメタル界ではBFMVに続く衝撃的バンドと言っていいだろう。

この曲は彼らの2012年現在唯一のアルバム"Portraits"に収録されている。バンド自体の音楽性がメタリックというよりハードロックっぽいんだけど、スクリームとクリーンの声質も何気に男臭い印象。楽曲自体はスクリーモに近いメタルコアなのかな。アグレッシブなパートあり、メロディアスなクリーンvoパートあり、重量級のブレイクダウンパートありと盛り沢山。

こいつらを聴かなきゃUKメタル界の今後は語れないというほどの名盤!

 

第6位 Erased/Dead By April

スウェーデン産のメタルコアバンド…と言っていいのかカテゴライズに迷うが、もはや超有名で紹介の必要も無いバンドの2009年発売1st"Dead By April"に収録されている楽曲。

元Nightrageのvoはハンパないデス声を轟かせてます(笑。楽曲の方は、アグレッシブなパートとメロディアスなパートの格差が凄まじいです。ポンタスさんの作曲センス、ヤバイです。まぁ、こうしたかなりメタル寄りな楽曲はアルバム中でも少なめな方なんですが、個人的に好みなのはヒット曲のLoosing YouとかPromise Meよりもこっちの方ですね。

 

第7位 No Horizons/This Or The Apocalypse

US産のプログレッシブ・メタルコアバンドの2008年発表1st"Monuments"収録。

ライブではどんなノリで対応すればいいのか非常に迷う変態的リフとテンポチェンジ、頭の中身が見てみたい不可思議でありながらクセになるメロディ。3分半ほどの楽曲なのに、やりたい放題。カオティック・コアほど病的でも変態的でもない、ちょうどいい感じのプログレッシブさがあり構成に破綻が無く、リフもメロディも秀逸。今後もメタルコア界で語り継ぐべき名曲。

 

第8位 The Sculptor/Funeris Nocturnum

残念ですが、この曲のYouTube動画はありません

Myspaceのサイトで試聴してみて下さい。

Myspace - Funeris Nocturnum

 

真のサタニック・ブラックメタルバンドと称されていたのは1st・2ndまでで、この曲が収録されている2003年発表の"Code 666 - Religion Syndrome Deceased"では実験的アプローチを見せた…というより変態系に突っ走ったブラックメタル…とさえ呼んでいいのかどうかも不明という変わり様。いや、名曲揃いの名盤ではあるのだが。で、この曲はそのアルバムの中でもわりと真面目にブラックメタルしてるのだが、イントロの爆速ブラストと変態リフの組み合わせがクセになる超名曲。

 

第9位 Say Goodbye/I Killed The Prom Queen

オーストラリアのメタルコアバンドが2006年に発売した2nd"Music For The Recently Deceased"に収録されている楽曲。In FlamesやSoilwork等のスウェディッシュ・メロディック・デスメタル系の音楽性に歌い上げるクリーンvoのサビや強烈なブレイクダウンを導入した独特のメタルコアをやっているバンドで、この曲はIKTPQの音楽性を非常に的確に表していると言える。

現在のメタルコア/スクリーモ勢の重く・激しくの流れはこれに行き着くと言っても過言ではない。

 

第10位 White Walls/Still Remains

US産メタルコアバンドの1st"Of Love And Lunacy"に収録されている楽曲。

スウェディッシュ・メロディック・デスメタルから多くを学んだような音楽性で、テンポダウンがあってもそれはブレイクダウンとは呼べないし、リフワークよりもリードのメロディに重きを置いた感じだし、何より…特にこの曲はIn Flamesみたいだ(笑。いや、笑い事ではなく、イントロのメロディはどう聴いてもEmbody The Invisibleそのもの。が、それだけでは終わらないのがStill Remainsの凄いところ。この曲の聴きどころはイントロよりも、中盤のピアノを導入したパートから先の展開。

一時解散していたが、この1st時のメンバーで再結成とのこと。

 

…というわけで、エクストリーム系メタルの名曲30選。

個人的な思い入れのある名曲を選曲したわけですが、こうして選曲することでヘヴィメタル系…特にスクリームやデス声を多分に含んだ楽曲の中にも美しいメロディを持った楽曲は沢山あるんだということを、あまりメタルを聴かない人たちに認識してもらえればなぁ、という思いを込めています。

ここで選曲していない楽曲の中にも魅力的なメロディを持った曲は沢山あります。

デスメタルとかメタルコアとか、ヘヴィメタル全般に言えることですが、ただテンポや演奏が速いだけの音楽ではないし、ギターやドラムがウルサイだけの音楽ではないです。スクリームやデス声は怒鳴ったり吐き捨てたりしてるわけではなくて感情がこもっているヴォーカルだし、そうした声で激情…怒りや悲しみを、その痛みを表現してるように思うのです。

こうして選曲したうちの1曲でも聴いて、それでメロデスやメタルコアに少しでも興味が惹かれて、それで偏見というものが少しでも解消されるのならそれが一番嬉しいことです。

 

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